ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

物流施設で無人点検実証、大和ハウスとNTTコム

2024年3月18日 (月)

拠点・施設大和ハウス工業とNTTコミュニケーションズ(NTTコム)は18日、ドローンやAI(人工知能)を活用した物流施設の無人点検管理の実証実験を公開した。検証は大和ハウス工業のDPL久喜宮代(埼玉県宮代町)で行われ、データ取得には飛行ドローン「skydio(スカイディオ)2+」を使用。得られたデータをNTTコムが開発したデータ連携プラットフォーム「SDPF for City」(スマート・データ・プラットフォーム・フォー・シティー)を介してAI画像解析システムなどに送られ、異常を検知する。


▲飛行ドローンがポートから飛び立つ様子

背景には慢性的な人手不足への対応と労働負荷の軽減、災害時のBCP対策がある。大和ハウス工業では5年前には最大規模の物流施設であっても15万平方メートルであったが、現在は32万平方メートルを超える物件も有するようになり、施設の巨大化が進んでいる。

「10万平方メートルの施設を人力で巡回・点検すると1万歩歩くことになり、労働負荷が高い」(大和ハウス工業建築事業本部担当部長・石川一郎氏)ため、これを機械化することで労働者の負荷を軽減する狙いがある。機械やデジタルソリューションで解決できる課題は自動化し、労働者は人が行う必要のある作業に振り分ける。「ドローンを活用することで点検業務の負担を3割程度軽減できる」(石川氏)という。

また、激甚化する自然災害へのスピーディーな対応や施設の破損を自動的に、いち早く検知することで、業務の停滞や作業車の事故を防ぐ。また、こうしたトラブルによってトラックドライバーの待機時間が増えてしまうことを予防する目的もあるという。さらに、不審者、放火などを防ぎ、あるいは速やかに見つけることで、迅速な対応に活用する。

使用されるスカイディオ2+は、一般的なトラックの荷室の高さ4.5メートルよりも高く5.5メートルほどの上昇能力があり、風速10メートルの環境下での飛行が可能。本体に備える6つの魚眼レンズを使って周囲の状況を把握しながら、自動、自律飛行し、1回の充電で10万平方メートルほどの広さの施設を巡回することができる。同機種はGPSを搭載しておらず「屋内での運用のため、一般的なGPS付きの機種ではなく同機種を選定」(NTTコミュニケーションズ関西支社第二ビジネスソリューション営業部門主査・村川幸則氏)したという。ドローンの点検が終わると自動で報告書が作られ、担当者は報告書をもとに必要な対応を行うことができる。

ドローンのカメラで倉庫内のあらゆる場所で事前に正常な状態を撮影。点検時は飛行しながら倉庫内をくまなく撮影し、正常時の画像とAIを使って照合し、変化があれば異常として報告される仕組み。

当面は新設される物流施設から実用運用していくが、今後10年をめどに全ての施設に導入し、監視センターで一元管理できる体制作りを目指す。
「点検管理を機械化、自動化し一元管理することでかかるコストを圧縮。削減されたコストの分家賃を安くするなど、顧客への還元ができるような運用にも取り組んでいきたい」(石川氏)

■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。

※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。

LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com