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東京建物が初のマルチ型冷凍冷蔵施設「(仮称)T-LOGI大阪弁天町」開発

T-LOGIが大阪湾岸で切り拓く冷凍冷蔵倉庫の新潮流

2024年5月23日 (木)

話題「天下の台所」と呼ばれた時代から、大阪、特にその港周辺は日本の物流を支える重要拠点である。なかでもJR大阪環状線とOsaka Metro中央線の「弁天町」駅周辺は、オフィスビルや高層マンション、商業施設が並ぶ半面、西側に目を移せば大阪湾が控えており、古くからの湾岸倉庫関連施設と都市消費圏を結ぶ大阪港の入り口でもある。東京建物はこの大阪弁天町エリアに、延床面積1万9700平方メートル以上の4層ボックス型物流施設、「(仮称)T-LOGI大阪弁天町」の竣工を2027年に目指している。

T-LOGI初の大阪市内、初のマルチテナント型冷凍冷蔵倉庫を供給

ロジスティクス事業部リーシンググループ主任の野本瑠衣菜氏は、「この施設は、東京建物単独開発として初めての大阪市内物件。さらにT-LOGIシリーズ初のマルチテナント型冷凍冷蔵倉庫です」と、今後の物流施設市場全体にも大きなインパクトを与えるプロジェクトと位置付ける。

▲ロジスティクス事業部リーシンググループ主任の野本瑠衣菜氏

「物流業界の最新ニーズをつかみながら『今、必要とされる施設』を開発・供給していくことは、私たちの重要な使命。昨今の冷凍冷蔵倉庫を求める声の高まりにもここ数年来着目しており、BTS型の冷凍冷蔵倉庫の開発を行ったり、ドライのマルチテナント型施設の一部に、テナント様の要望を踏まえ冷凍冷蔵区画を新設するなど、冷凍冷蔵倉庫に関する需要や課題解決を少しずつ積み上げてきました。そこで得たノウハウを基盤に、さらに冷凍冷蔵倉庫のニーズ拡大に対応する施設として、開発に着手したのが、この大阪弁天町の施設となります」(野本氏)

同社の物流施設事業のスタートは18年から。事業参入時点ですでに冷凍冷蔵倉庫の市場では、賃貸利用できる絶対的な施設数の不足、既存の施設の老朽化、コストの高騰など、さまざまな課題が顕在化していた。同社はまず22年竣工のT-LOGI本庄児玉(埼玉県上里町)をBTS型の冷凍倉庫として開発し、T-LOGI福岡アイランドシティ(福岡市東区)やT-LOGI一宮(愛知県一宮市)などのマルチテナント型倉庫にて冷凍冷蔵設備の設置可能区画を提供するなど、供給面積や供給エリアを拡大してきた。

▲「T-LOGI本庄児玉」

ロジスティクス事業部の倉富匡弘氏(事業グループ課長)は、「大阪弁天町では、私たちがこれまでBTS型冷凍冷蔵倉庫の開発、マルチテナント型施設での冷凍冷蔵区画対応で学んだノウハウや経験などを、より多くの冷凍冷蔵施設を求めるカスタマーにも提供し、さらにこれからの市場の拡大や変化にも対応できる、冷凍冷蔵物流の拠点を目指しています」と語る。

大阪港湾地域に集積する既存の倉庫は、築年数30年以上、なかには50年以上の老朽化した物件も多く、倉庫の建て替えや移転の検討が求められる状況ではあるが、建築にかかる材料費や人件費の高騰、フロン規制による新規建て替えコストの増加で、簡単に着手できる状況ではない。

▲ロジスティクス事業部事業グループ課長の倉富匡弘氏

「EC(電子商取引)の需要増、とりわけ食品EC、家庭向け食材配送や給食事業の増加や、コンビニエンスストア、外食産業への拡大など、冷凍冷蔵倉庫を取り巻く環境はますます活性化することが予想されるのに反して、倉庫の老朽化は進んでいます。かといって一時しのぎとなる保管場所さえもない状況となれば、私たちとしては当然その受け皿となる施設を、利用しやすい形で提供することで市場に貢献する必要があると考えています。大阪市内の港湾入り口となる貴重な場所に施設を供給することで、冷凍冷蔵物流を停滞させることなく一歩前へ進めることができるのではないでしょうか」(倉富氏)

新規の冷凍冷蔵施設を、デベロッパー側の先行投資で賃貸利用できるのであれば、カスタマーにとっては莫大な設備投資や長期にわたる契約のしばり、退去時の原状回復費用なども必要なく、事業戦略に必要なタイミングで冷凍冷蔵施設を運用することも可能となる。変化の早い物流業界において、時流に合わせた柔軟な配送網の構築は、事業継続・成長の重要要素であり、賃貸型利用の物流施設はその重要要素の一助となる。

「(仮称)T-LOGI大阪弁天町など、私たちの提供するマルチテナント型冷凍冷蔵施設では、ドライ仕様の通常のマルチテナント型施設と同様に、必要なときに必要な期間、時流を見ながら冷凍冷蔵施設を運用することが可能で、より柔軟で戦略的なコールドチェーンを構築することができます。先行投資の大きなリスク部分は私たちで引き受けることで、賃貸利用の優位性を認識してもらえると期待しています」(倉富氏)と、マルチテナント型の冷凍冷蔵施設利用を、低温物流市場の新潮流として開拓していくことを目指す。

「大阪港湾」「巨大商圏」に立地という、物流拠点としての圧倒的な優位性

開発する施設は、阪神高速17号線・安治川インターチェンジ(IC)から0.8キロ、弁天町ICから1.2キロ。阪神高速18号線・波除ICから1.4キロ、本田ICから2.5キロと、複数の主要道路、複数のICを利用可能である。また、大阪駅周辺まで車で15分と国道43号や中央大通を起点とする市内配送力に優れるほか、関西商圏から、西日本の物流ハブとしての広域配送、大阪港との接続を生かした物流構築などもターゲットとなる立地である。

▲周辺図(クリックで拡大)

また、前述の弁天町駅からは徒歩通勤圏内。市内の主要駅への接続でも利便性が高く、多くの大阪市民の生活の場にも直結する。雇用においても電車通勤、自転車通勤が可能な、施設内で働く人々にとっても魅力的な場所の新規施設供給と言えるだろう。

「水産、畜産、生鮮食品など、主に冷凍設備による保管を必要とするユーザーの、倉庫建て替えや移転ニーズなどにも対応していきたい」(野本氏)。検疫や保税倉庫としての運用などについても、ニーズがあれば対応可能としており、港湾物流施設の機能を最大限活用する施設となる。

「もう一つ想定しているのは、人口集積地への機動力の高い冷凍冷蔵配送を目指す食品系ECや、外食産業、小売や卸、コールドチェーンの物流事業者など、都市型施設の機能を最大限に生かせる運用です」(野本氏)と言う通り、巨大消費地起点の物流構築もターゲットだ。「すでに港湾ニーズ、都市型配送ニーズ両方のユーザーから多くの問い合わせをいただている状況です」(野本氏)として、マルチテナント型施設の枠組みの中で、細かいスペックなどは個別要望に柔軟に対応していくことも視野に入れている。

「用地獲得や開発のノウハウ、ほかでは真似できない」

さらに野本氏は、「施設で働く人々に、生活やショッピングなど暮らしの現場の延長で働く場を提供できるロケーションは、この施設の最大の強みになるのではないでしょうか。共用部の仕様でも、少しでも快適な物流現場を提供できる場所となるよう、T-LOGIらしいこだわりが光る施設を目指します」と語り、市場が求める要望に応じて、今後も冷凍冷蔵倉庫を積極的に供給していく予定だという。

「冷凍冷蔵倉庫の領域では、私たちよりたくさんの開発物件数を誇るデベロッパーさんも多いと思います。ただ、2018年に物流事業に参画して以来、物流のトレンドに真摯に向き合いながら短期間で積み上げた用地獲得や開発のノウハウの濃さもまた、ほかでは真似できないものだと考えています。冷凍冷蔵倉庫に限らず通常倉庫でも、その積み重ねた知見で、ユーザーのニーズに応えるという私たちの取り組みは変わることはありません。今後も、1棟まるごとの冷凍冷蔵施設の開発だけではなく、例えば1階だけを冷凍冷蔵としてその上階をドライ倉庫とするなど、多様なニーズにも柔軟に対応していきたいと考えています」(倉富氏)

「(仮称)T-LOGI大阪弁天町」概要

所在地:大阪府大阪市港区弁天6-5-4ほか(地番)
敷地面積:9425平方メートル
延床面積:1万9736平方メートル(予定)
用途地域:準工業地域
アクセス:阪神高速17号・安治川ICから0.8キロ、弁天ICから1.2キロ、阪神高速16号・波除ICから1.4キロ、本田ICから2.5キロ、JR大阪環状線・弁天町駅から徒歩14分

※BTSの相談可能