アパレル東レは18日、自動車用途など炭素繊維複合材料事業の拡大を図るため、レーシングカーの設計・製作で知られる童夢グループの子会社「童夢カーボンマジック」(滋賀県米原市)の全株式を4月に取得し、100%子会社化することに合意したと発表した。
買収後、社名を「東レ・カーボンマジック」に変更する。併せて、童夢グループのタイ生産子会社「童夢コンポジット・タイランド」(タイチョンブリ県)の株式75%を取得し、子会社化、社名を「カーボンマジック(タイランド)」に変更する。
童夢カーボンマジックは、童夢のレーシングカー用CFRP部品の生産会社として1995年に設立。自動車用途だけでなく、幅広い分野でCFRP部品を数多く生みだしている。
タイ生産拠点の童夢コンポジット・タイランドは、CFRP部品の量産工場として2005年にタイの大手消費財関連コングロマリット・サハグループとの合弁で設立。オートクレーブ技術を核に、高品質の製品を競争力あるコストで量産し、業容を拡大している。
東レは現在、名古屋事業場にある自動車・航空機分野向け総合技術開発拠点「A&Aセンター」の中核施設「アドバンスドコンポジットセンター」と「オートモーティブセンター」を中心に炭素繊維複合材料製品の設計・製造技術、製品開発を行っている。
また、欧州では08年にRTM成形でCFRP部品を開発・生産しているACEアドバンスドコンポジット・エンジニアリング社(ドイツ・インメンシュタット市)に資本参加するとともに、11年にはダイムラーAGとCFRP製自動車部品を製造販売する合弁会社を設立し、自動車用途の炭素繊維複合材料サプライチェーンを強化・拡充してきた。
今回の買収により、CFRP部品の設計技術力を飛躍的に拡充し、保有するCFRP成形技術との相乗効果により、顧客ニーズに素早く対応できる体制を強化する。
ASEAN地域の自動車産業の中心で、政府が航空機関連産業の誘致を計画するタイに炭素繊維複合材料関連の生産拠点を確保することで、同地域の経済成長を取り込むとともに、競争力のあるグローバルサプライチェーンを提案できる体制が整える。