アパレル三菱レイヨンは14日、欧州市場で炭素繊維複合材料事業の発展・拡大を図るため、ドイツの炭素繊維ファブリック開発製造会社「TKインダストリーズ」の全株式を取得し、10月31日付けで100%子会社としたことを発表した。
今後、三菱レイヨンは高性能ラージトウをTK社の多軸ファブリックに適用し、自動車用途や一般産業用途の成形加工に適した中間基材の開発を加速する。
TK社は2008年の創業で、特にラージトウを用いた炭素繊維多軸ファブリックの設計、開発に優れた技術、ノウハウを持つ。
両社は、昨年7月に稼動を開始した三菱レイヨン大竹事業所炭素繊維工場(年産2700トン)から供給される高性能ラージトウを採用した、多軸ファブリックの開発を共同で進めてきた。
ドイツを中心とする欧州自動車市場では、炭素繊維強化樹脂(CFRP)を車体構造材に使用した電気自動車BMWi3が来秋に販売開始されるなど、CFRP部品を本格的に採用する動きが加速しており、中規模量産に適したRTM工法は、自動車用CFRP成形技術として主流になることが見込まれる。
さらに、風車の高発電効率翼への交換需要の増大、北海での大型オフショア風車建設など、再生可能エネルギー分野での炭素繊維複合材料需要が増加する中、大物造形に適したRTM工法は一般産業用途でも重要性を増している。
これまで三菱レイヨンは、高性能ラージトウやハイサイクルプレス成形(PCM工法)用プリプレグ材料の開発・製品化を進めてきたが、RTM工法の基材となる多軸ファブリックの開発に強みを持つTK社がグループに加わったことにより、大手自動車メーカーなどユーザーへの提案力を強化し、欧州での炭素繊維複合材料事業の拡大を目指す。