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TSR、8月は倒産数減も連鎖倒産が急増

2024年9月17日 (火)

調査・データ東京商工リサーチ(TSR)は16日、ことし8月の企業倒産が29か月ぶりに前年同月を下回ったと発表した。物価上昇の価格転嫁が緩やかに進んでいる効果とみられるが、一方で連鎖倒産が過去10年で最多ペースとなっている。

同社のまとめによると、ことし8月の全国企業倒産(負債額1000万円以上)は、723件で前年同月比4.8%減、負債総額も1013億7000万円で同6.4%減となった。

件数は、4か月ぶりに700件台となり、ことし3番目に少ない件数となった。2022年4月から前年同月を上回る月が続いていたが、歴代3番目の長さの28か月間でストップした。

同社は、資材や燃料代の上昇が激しかった運輸業や建設業など一部の業種で価格転嫁が緩やかに進み、効果がじわりとでてきているとしている。

しかし、1月から8月の累計は6607件(同18.8%増)に達した。物価高や人件費上昇などが続いていることも考えると、倒産件数は11年ぶりに年間1万件を超える恐れもある。

一方で、ことし1月から8月の連鎖倒産は370件に達し、前年同期の288件に比べると28.4%増となった。370件のうち負債1億円未満は247件で、66.7%を占めたが、負債10億円以上の大型倒産も16件発生している。

▲1-8月の連鎖倒産件数推移(クリックで拡大、出所:東京商工リサーチ)

形態別では、破産が314件と全体の84.8%を占めた。再建型の民事再生法と会社更生法は計28件と7.5%にとどまった。

連鎖倒産の最多記録は1998年の1390件で、これに比べれば3割程度だが、コロナ禍で急減した連鎖倒産が再び増えている。現在の連鎖倒産の傾向については、コロナ禍や物価高で経営体力が疲弊したところに、親会社や取引先の倒産が直撃し、事業継続を断念するケースが目立つ。

同社は連鎖倒産が増加する時期は、景気後退局面が多いと指摘。年間倒産件数の多さや、今後の金利上昇と最低賃金の引き上げによる経営への悪影響を考えると、経済情勢悪化の前兆である恐れがあると、注意を呼びかけている。

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LOGISTICS TODAY編集部
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