調査・データ帝国データバンク(TDB)は4日、今年度上半期(4-9月)の人手不足を要因とする「人手不足倒産」の件数が163件に達したと発表した。過去最多の件数を大幅に更新した昨年度を上回るペースで件数が急増している。
同社によると、上半期の件数としては、過去最多となった23年度の135件を28件上回った。このままのペースでいけば、昨年度1年間の313件も大幅に上回ることが予想される。
業種別にみると、建設業が55件(前年同期51件)で最も多く、物流業も19件(同19件)と高い水準が続いている。この2業種を合わせて全体の45.4%を占めた。また、全業種を通じて従業員数10人未満の小規模事業者の割合が高い。
同社のアンケートによると、建設・物流業では人手不足を感じている企業の割合が7割に達している。全業種の51.5%を大幅に上回る高い水準となっており、人手不足が解消する兆しは見られない。また、今年4月に時間外労働の上限規制が適用されたことも、人手不足に拍車をかけ、倒産に追い込まれたケースが続出する要因の1つとなっている。
ただ、賃上げにつながる価格転嫁の状況が、両業種でも徐々に改善してきており、特に物流業は22年12月時点で、全体と20ポイント近く差が開いていたが、しだいに差が縮まってきている。同社は「今後は価格転嫁状況の改善による賃上げ、労働環境の改善によって人材の確保につなげられるかが人手不足の解消を左右する」と分析している。
また、同社は全業種の雇用状況について「就業者数は増加し、有効求人倍率も上昇に歯止めがかかるなど、各種統計では人手不足が落ち着いたような傾向がみられる」としたものの、賃上げ機運が高まるなか、労働市場の流動化が進んでいることが人手不足倒産増加の一因になっていると指摘。同社のアンケートでも企業の人手不足感が高止まりしていることを踏まえると、今後も労働条件が厳しい小規模事業者を中心に、人手不足倒産が高水準で推移すると予測している。
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