話題日本の物流業界に先進型物流施設を導入し、その後の物流不動産市場のスタンダードを作り上げたプロロジス。物流市場における先導者として、汎用性のみならず付加価値のある物流施設の開発や、物流業界の次世代リーダー育成に向けたプロロジス・アカデミーの開講など、常に物流不動産業界の「一歩先」をリードしている。
物流危機・2024年問題で配送困難エリア発生の恐れもある東北エリアへも、戦略的な施設開発でいち早く対応してきたのが同社である。これまでのようにはモノが運べなくなる時代に備え、分散拠点開発などに取り組んできた。
同社は広大な東北エリアの北から南まで、ブロックごとの物流ニーズに合わせた拠点を開発し、「盛岡、北上金ケ崎、仙台、郡山と、それぞれ東北自動車道の要所に施設を設けることで、東北全域を網羅。東北といえばプロロジス、と言われるような、東北地方の多様な物流ニーズに対応できる選択肢を用意している」と、開発部ディレクターの中山博貴氏は語る。プロロジスの東北4物件は、それぞれの地域特性に応じたサプライチェーン構築の選択肢として、事業者の新たな物流拠点戦略を後押しする。
東北エリアの新たなコア拠点施設、プロロジスパーク盛岡
まず、東北エリアの物流課題に対応する施設として最初に開発したのが、紹介する4施設の中で最も北部に位置する「プロロジスパーク盛岡」(23年11月竣工、岩手県矢巾町)である。これまでの仙台をハブとした拠点設定では、あらたな残業規制を順守しながら青森や秋田までは運びきれない。プロロジスパーク盛岡を北東北のハブ拠点とすることで、青森・秋田を片道3時間圏内の配送エリアとする配送網構築を実現し、24年問題対応を他に先駆けて提起した施設ともなった。
プロロジスパーク盛岡は敷地面積7万3713平方メートル、延床面積9万9592平方メートルの地上3階建てという東北エリア最大のスケールを誇る。東北自動車道・盛岡南インターチェンジ(IC)、矢巾スマートICから4.7キロと、高速道を基軸とする東北3県の物流中心地として機能する。大消費地でもある盛岡市への配送拠点としても、これまでこのエリアになかった規模での運用を可能とする。館内にはカフェテリアや、コンビニエンスストアなどを用意しており、東北の基点としての立地のこだわりだけではなく、施設で働く人々への配慮も行き届いた仕様からは、東北エリアを代表する最先端物流施設としての気概がうかがえる。
東北における新たな物流中心地として、大手企業の北日本の拠点、あるいはエリア産業の受け皿としてすでに多くの企業が入居している。日本通運や、サントリーホールディングスの北東北3県への配送拠点として運用されているほか、東北を代表する医療機器卸事業、丸木医科機械(仙台市太白区)の新たな物流拠点となることも公表されており、すでに空き区画は3階部分の一部を残すのみとなっている。「東北の中心地で、長く事業の継続と成長を支える施設となるはず。貴重なスペースを活用できる機会をぜひ逃さないようにしてもらいたい」と中山氏は語る。
東北エリアの東西南北の結び目、プロロジスパーク北上金ケ崎
盛岡から東北道を南下した、秋田自動車道とも交差するエリアで、東北地方の縦横を結ぶ結節点に開発されるのが「プロロジスパーク北上金ケ崎」(岩手県北上市)である。
東北道・北上金ヶ崎ICに隣接し、高速道利用による機動力を最大限に発揮できるとともに、東北新幹線・北上駅から10キロ圏内、JR東北本線・金ケ崎駅から6キロ圏内と、雇用確保においても優位な立地である。延床面積近隣では希少な大型施設で、5万5112平方メートルの2階建て施設をメゾネットとして使用できる。1区画1万2000平方メートル規模から利用が可能であり、各区画に施設内で接車可能な車路によって、全天候対応の搬出入、迅速なオペレーションをサポートする。
同じ岩手県下の施設ではあるが、盛岡施設とは50キロの距離があり、エリアのニーズにもそれぞれ特色があると中山氏は言う。北上金ケ崎施設周辺は、北上南部工業団地、北上工業団地などが多数点在し、エリアの半導体や精密機械、工業系貨物、食品など旺盛な物流需要に応える施設として期待されているとともに、「秋田自動車道との接続、秋田方面へのアクセスの良さでは、盛岡の施設よりも利便性が高いのがこの施設の特色。盛岡から青森、仙台、秋田など東北の東西南北の結節点として問い合わせも多い」(中山氏)という。
この施設の竣工が予定される26年1月を、近隣エリアで最大級、最新の物流施設を東北基幹拠点とする新たなサプライチェーン構築のタイミングとすることもできるのではないだろうか。
物流要衝・仙台市泉ICエリアに、プロロジスパーク仙台泉3を開発
盛岡、北上金ケ崎からさらに東北自動車道を南下すれば、東北最大都市・仙台市に到達する。東北の中心商圏である仙台市では、延床面積5万平方メートル、地上3階建ての物流施設「プロロジスパーク仙台泉3」(仙台市泉区)の開発を計画している。
開発予定地は、仙台市の中でも特に物流の要衝に位置付けられる東北道・泉IC近隣エリア。プロロジスではすでに同エリアにBTS型物流施設2棟を稼働させ、ともに大手物流事業者の拠点として運用されているなど、東北物流のコア施設となっている。今回計画中の施設は、既存2棟の近隣エリアながら、泉ICにはもっとも近い1.7キロ、車で3分という好立地であり、高速道路を利用したスピーディーな物流構築において、より力を発揮する施設である。「巨大商圏の後背地として希少な内陸部に位置し、仙台市内への配送や東北地方の広域配送拠点として常に注目されているエリア」(中山氏)だ。
施設構造は延床面積4万8392平方メートルの3階建て施設を、縦3層区画で運用する仕様となる。「近隣の泉パークタウン工業団地には先端事業など多様な企業が集まり、自動車部品関連の工場なども多い東北の産業の中心地。食品関連の物流ニーズも高いなど、エリアが必要とする多様な物流機能を満たすポテンシャルの高さに注目してもらいたい」(中山氏)
首都圏と新潟への結節点・郡山で、物流拠点集積パーク開発計画進行中
プロロジスの東北エリアの施設開発で、東北道の最も南、首都圏方面への結節点にあたるのが、福島県郡山市での開発プロジェクトである。開発地は、東北地方を縦断する東北道と太平洋岸・日本海岸を横断する磐越自動車道とが交差する郡山ジャンクション(JCT)に近接した、東北道・郡山中央スマートICの隣接地。13万8000平方メートルに及ぶ開発面積の物流拠点集積パーク「福島郡山LLタウン」の一部として計画されており、BTS型施設、マルチテナント型施設などプロロジスの複数の物流施設が集積する予定である。
「首都圏へ3時間、仙台市へ1時間、新潟市まで2時間で到達可能で、東北エリアと首都圏、新潟とのつなぎ目となるエリア」(中山氏)として広域物流のハブとなる。さらに、東北エリアで仙台市に次ぐ人口集積地である人口32万人都市の郡山市中心部から車で20分と、雇用にも有利な立地である。高速道に隣接する機動性を生かした新たな物流拠点として、地域産業振興への貢献、地域の広域防災拠点としての役割も担う拠点として、今後さらに具体化される予定である。
北は盛岡から南は郡山まで、東北の各エリアのニーズに応える立地や機能など、必要な施設を先回りして用意するプロロジス。より効率的な物流運用への転換が求められる事業者に、北日本の物流の背骨・東北自動車道の隣接地・近接地に高機能な先進的物流施設を用意することで、各種課題の解決をバックアップしている。
かつての街道の宿場町のように、東北道の適材適所に配置されたプロロジスの物流施設が、東北のこれからの人流、物流をつなぐ、重要拠点としての存在感を確立していくのではないだろうか。
「プロロジスパーク盛岡」
所在地:岩手県紫波郡矢巾町大字広宮沢
敷地面積:7万3713平方メートル
延床面積:9万9604平方メートル
階数:地上3階建て
竣工;2023年11月竣工済み
https://www.prologis.co.jp/pkms/iwate_morioka
「プロロジスパーク北上金ケ崎」
所在地:岩手県胆沢郡金ケ崎町六原土井道合、後平地内
敷地面積:7万8484平方メートル
延床面積:5万5112平方メートル
階数:地上2階建て
竣工;2026年1月末竣工予定
「プロロジスパーク仙台泉3」
開発地:宮城県仙台市泉区大沢3-1-3
「郡山市 物流施設集積パーク」(仮称)
開発地:福島県郡山市大槻町中ノ平地内