ロジスティクスことし5月に施行された改正物流効率化法(新物効法)に基づく荷主や物流事業者などへの規制について検討している国土交通省と経済産業省、農林水産省の合同会議は11日、規制案などをとりまとめ、概ね合意するとともに、今後の取り扱いについて座長を務める根本敏則委員(敬愛大学特任教授)に一任した。来年初めにも政令として交付される見込みとなっている。
新物効法は、長時間労働や賃金の抑制などトラック業界の人手不足の要因となっている課題を解決するため、荷主や運送事業者に対する規制を設けることで、トラック運転手の労働環境の改善を図ることを目的としている。特に貨物取扱量の多い荷主などを「特定事業者」に指定して、役員級の物流統括管理者(CLO)の選任や、物流効率化に向けた中長期計画の策定、国への定期報告などを義務付ける。
合同会議では、同法の公布を受け、特定事業者の指定基準や指定後の取組みに対する国の判断基準などを議論してきた。
取りまとめ案によると、特定荷主については取り扱い貨物の重量を9万トン以上とし、特定倉庫業者は貨物の保管量70万トン以上、特定貨物自動車運送事業者については保有車両台数150台以上とした。該当する企業数は、荷主が3200社程度、倉庫業者が70社程度、運送業者は790社程度となる。
中長期計画では、「運転者一人当たりの一回の運送ごとの貨物の重量の増加」、「運転者の荷待ち時間の短縮」、「運転者の荷役等時間の短縮」といった課題に対して、実施する措置や具体的な内容や目標、実施時期などを記載し、基本的に毎年度提出する。内容に変更がない場合は5年に1回とする。
定期報告も年1回とし、チェックリスト方式によるルールなどの順守状況や、計測した荷待ち時間などを明記。関連事業者との連携状況や改善に向けた取り組み状況などを自由記述で記載する。
荷待ち時間の計測方法も具体的に決められ、サンプリング調査や、荷待ち時間が一定時間以内である場合の報告省略も認めたが、デジタル技術の活用などによって効率的に把握することが望ましいとした。
物流統括管理者(CLO)については「物流全体の持続可能な提供の確保に向けた業務全般を統括管理する」と定義し、基本的に重要な経営判断を行う役員などの経営幹部から選任されることが必要だとした。CLOは中長期計画の作成や定期報告の作成や実行に責任を持つほか、運送や荷役などの効率化に向けた社員らの意識向上に向けた社内研修などを実施する。
これら中長期計画の作成や定期報告、CLO選定などの規定は、ことし5月15日の公布日から2年以内に施行される。
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