調査・データ国内の大手電子商取引(EC)モールの市場動向を分析する「Nint ECommerce」を運営するNint(東京都新宿区)は13日、経済産業省が公表した「令和5年度電子商取引に関する市場調査」のマクロデータと、同社が保有する楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングの3大ECモールのミクロデータに基づく、日本のEC市場の調査結果を公表した。3大モール(楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング)の流通総額は2023年、10兆1000億円に達し、物販領域全体の69%を占めている。
同社の推計によると、23年の3大モールの流通総額は前年に比べ5.9%増加し、物販領域全体の約7割を占めるまでになった。3大モール全体の平均単価は昨年の3223円から3370円へと4.5%増加しており、流通額の伸びは平均単価のアップが主な要因とみられる。
ジャンル別に見ると、流通金額が最も伸びたのは「衣料、服装雑貨等」で前年比19.1%増だった。販売数量も13.9%増え、平均単価は3908円と4.5%伸びた。流通金額の伸びは数量の上昇が主な要因で、顕著な需要の回復が見られる。
ランニングシューズやスニーカーなどの靴、キャリーケースなどのカバン、冬物のジャケットなど特に男性向け衣類ジャンルが伸びており、スポーツメーカーの1万円以上する高機能ランニングシューズが高い売上を記録した。
「生活雑貨、家具、インテリア」も数量が前年比で5.4%増えたことによって流通金額が5.3%伸びた。平均単価は1.0%とやや減少した。
一方、「化粧品、医薬品」は数量が6.7%減少したものの、平均単価が12.4%増えて流通金額も4.8%増となった。外出需要の増加で使い捨てコンタクトレンズが売れており、さまざまなバリエーションの商品が売れ筋となっている。
「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」も平均単価が5.4%伸び、流通金額が4.1%増となった。特に生活家電、ゲーム機器、健康家電が売れており、ワイヤレスイヤフォンや多機能プロジェクターが高い売上を記録している。健康家電では筋膜リリースガンや美容機器、スカルプ電気ブラシなど家庭用セルフケア製品の人気が高い。
ロボット掃除機や空気清浄機能を備えた家電製品も、衛生意識の高まりから高い需要が続いている。
同社は「23年は消費者の行動様式が変化し、外出機会の増加でファッションや化粧品の需要が高まる一方、在宅関連商品の需要が減少するなど、ジャンルによっては追い風と向かい風の両方が発生する複雑な市場動向が見られた」と分析。「中小EC事業者は、競争の激化と、物流コストの増加やプラットフォーム手数料の上昇が利益を圧迫しており、経営戦略の見直しが求められている」と指摘している。
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