調査・データ日本貿易振興機構(ジェトロ)は2日、「2024年度 海外進出日系企業実態調査(北米編)」の結果を公表した。
本調査は9月、米国・カナダに進出する日系企業1826社を対象にアンケートを実施し、774社より有効回答を得た(うち、運輸業は28社)。進出日系企業の活動実態を把握するために原則年1回実施しているもの。
ことし黒字を見込む企業は、在米国日系企業で66.2%、在カナダ日系企業で73.8%。米国はわずかながら新型コロナ禍前の2019年の水準を初めて超えた。今後1、2年の事業展開の方向性は、現地市場ニーズの拡大を見込み、拡大を予定する企業の割合が米国、カナダともに5割前後とここ数年の傾向を維持。米国では経済規模の大きいカリフォルニア州、テキサス州のほか中西部や南東部の州などでの拡大を見込む。
業種別では、運輸業が82.1%で非製造業では最も黒字見込みが高かった。米国では黒字見込みに影響した要因として、輸送貨物量の増加に加えて、輸送運賃の高騰が挙げられ、カナダでは新型コロナ禍が明けたことによる需要増が挙げられた。営業利益見込みが前年から改善したと回答した割合は運輸業では「改善」が39.3%、「横ばい」が35.7%、「悪化」が25%と、改善傾向にあることがわかった。今後1、2年の事業展開の方向性は、米国の運輸業では「拡大」と「現状維持」が5割ずつを占め、縮小を検討している企業は無いことがわかった。カナダでは「電気自動車(EV)製造の拡大」が事業拡大の理由に影響した。
経営課題は米国とカナダともに「従業員の賃金水準の上昇」(53.2%)がトップ。対策でも「既存社員の賃金の引き上げ」がトップと、インフレによる人件費の高騰が在北米日系企業の悩みの種との実態が浮き彫りになった。また「物流コストの上昇」は33.6%で調達面の課題として2番目に多い結果となった。具体的な課題としては日本からの輸入時の海上運賃が上昇したことや、為替の好影響を相殺し調達先との価格交渉の意味がなくなってしまうこと、東海岸におけるストライキ問題が挙げられた。
調達先の変更では、在米国日系企業と在カナダ日系企業ともに変更先のトップは拠点国内。サプライチェーンを拠点国に集約する動きが加速。米国の運輸業では調達先の見直し予定は「ない」と答えた企業が91.7%で、変更の動きはほぼ見られなかった。
業種別の米国の賃金(基本給月額、中央値)で、運輸業は「スタッフ」が4500ドル、「IT人材」が6250ドルで非製造業の中では下から2番目の結果。「マネージャー」は7200ドルで最も低い結果となった。年間賞与についてはスタッフ、マネージャーともに1か月が中央値で、平均的な結果だった。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com