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CLO体制作り前進へ、第3回CLO協議会開催

2025年1月14日 (火)

ロジスティクスフィジカルインターネットセンター(JPIC)は14日、東京国際フォーラムにて第3回CLO協議会を開催した。昨年、改正物流法施行に向けた詳細の取りまとめが、国土交通省、経済産業省、農林水産省の3省合同会議とりまとめとして公表され、CLO(物流統括管理者)設置義務の対象となる特定荷主、特定連鎖化事業者の基準と、CLOの要件についても明示された。第3回目の開催となる協議会では、行政、物流業界のリーダーや専門家が一堂に会し、CLO体制による物流構築をより具体的に検証し、議論する場となった。

▲JPICの森隆行理事長

協議会の冒頭、JPICの森隆行理事長からのCLO職能提言で、CLOの定義や求められる役割や職能について改めて共有し、CLO協議会を通じて物流課題解決につながる取り組み、連携や事例の共有の広がりを目指すことが示された。森氏は、まずはサプライチェーン(SC)の中でも特に「調達物流」をCLOが見直すべき出発点とすべきとの見解を示した。

続いて、物流改正法の施行に向けた国における検討内容、3省とりまとめについて、国土交通省の物流・自動車局官房審議官(物流・自動車)木村大氏が解説。法改正の主旨、物流業界に求められる取り組み姿勢について、国の立場から具体的な説明と、協力要請が行われた。また、改正法の基本方針にも示された、今後のCLO体制を支える高度物流人材の育成について、高度物流人材シンポジウム開催などの取り組みを解説。CLO育成に向けたキャリアパスの事例など、行政だけではなく各企業にも「緊張感を持って先手先手での対応」を訴えた。

さらに今回の協議会では、企業経営におけるCLOの「ミッション」と「実務戦略」をサブテーマとして、要件の検討段階からより具体的な事業者としての取り組み方を、二部構成のパネルディスカッションで検証。その第一部では「商習慣等の物流プロセスにおける課題解決」をテーマに、花王、平和堂、ヤマト運輸、ロジスティードといった荷主、小売、物流事業の各領域で顕在化している課題とその解決のための取り組みが共有された。各領域から共通して輸送容器などの標準化、平準化、積載率向上などでの問題点が指摘された。経済産業省からは標準化への支援として物流効率化実証事業が紹介され、商習慣や物流プロセスの見直しをデメリットではなく、未来志向で取り組むことが、今後の業界発展において重要な鍵となることが示され、CLO体制への期待とともに、改革のスピードアップにも期待が寄せられた。

▲パネルディスカッションの様子

第二部では“DXを活用した共同物流の実現に向けて”をテーマに議論、運用拡大が期待される共同物流と、それを実現するためのDX(デジタルトランスフォーメーション)の方向性が討議された。物流のシステム化やネットワーク化、コンサルティングを手がけるシーオス(東京都渋谷区)や、倉庫のマッチングサービスのsouco(東京都千代田区)、トラック予約システム、ムーボ・バースなどを展開するHacobu(東京港区)がそれぞれのDXサービスを通じた共同物流のあり方について紹介。ここでも、物流共同化へのDXのハードルとして、標準化、データ共有、セキュリティ、コスト、ビッグデータ活用、競争領域と協調領域の見極め、原価計算やデータに基づいた経営など、多様な課題があげられ、改めて共同物流の難しさが共有されるとともに、トップダウンではなくSCの下流から上流へと本当に必要な連携、標準化領域を広めていくべきであり、できるところ、できる業界単位からの共同化などの必要性も提言され、CLO同士の横連携の重要性なども指摘された。

また、製造・荷主企業からは三菱ケミカルが化学品ワーキンググループによる物流共同化への取り組みを紹介。コンビナート単位での共同物流、定期便構想など、デジタル化とともに業界ごとの行動計画による自主的な取り組み姿勢で、実効性のある業界内の標準化を進め、さらに業界を超えた標準化へと拡大していくことの重要性などを具体的な検証事例とともに紹介。国交省を交えて具体的な共同物流への取り組みのヒントと課題が提起された。

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LOGISTICS TODAY編集部
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