
▲新会社MY MEDICAの伊藤匡社長
ロジスティクスヤマトホールディングス(東京都中央区)とアルフレッサ(東京都千代田区)は6日、自動車運送事業者の従業員の健康管理と重症化予防を目的とした新会社「MY MEDICA(マイメディカ)」を設立したことを記者発表で公表した。新会社は2月7日からサービスの提供を開始する。2025年度までに200社へのサービス導入を目指す。
「MY MEDICA」では、スマートフォンアプリを使ったオンライン診療を活用し、従業員の健康診断結果をもとに医師が受診勧奨を行う。受診は薬剤師による処方薬の手配と服薬指導とセットになっており、全て10分ほどで終わらせることができる。処方された薬は宅配で受け取ることができ、配送業務はヤマトグループの配送網を活用する。また、再検査や治療の継続支援を提供し、健康リスクの軽減を図る。2023年12月からヤマトグループ内で試験導入した結果、健康診断の再検査受診率は98%、治療継続率は80%、累計受診件数は1万件以上に達し、現在は毎月約1000人が利用している。

▲アプリ画面の例
基本的に自動車運送業者向けのサービスとなっており、すでに西濃東京エキスプレス、フジトランスポート、西久大運輸倉庫が導入を決めている。導入に当たっては入会金などの導入コスト、入会金、月額利用料はかからず、診察料と薬代のほかはサービス利用料(440円)、薬の配送料(550円)が別途必要となる。サービス料と配送料を受信者本人が支払うか、雇用企業が支払うか、あるいどの程度を会社負担とするかは、企業ごとに相対契約で取り決めることができる。
サービスは7時から21時まで利用することができ、最短10分で診療から服薬指導までを受けることができるため、朝の運行前や430休憩の空き時間などを使っての受診が可能。同社の伊藤匡社長によると、「再受診のハードルとなっているのは拘束時間の長さ。この課題を解決するために当サービスでは、受診から薬局での薬の手配と服薬指導までをシームレスに連携させることで、拘束時間を短縮した」という。また、「病院で受診したあとにほかの薬局に薬をもらいに行くという手間が心理的な障壁になっているが、自宅などへ配送することでこのプロセスを切り分け、気軽に利用できる設計にした」と語った。「サービスにはそれ以外にも、症状を放置しておくとどうなってしまうのかなどを伝える教育機能も搭載。受診率の向上には、気軽に受診できることだけでなく、こうした教育の効果が大きいと見ている」。
自動車運送業界では、長時間労働や年齢層の高まりにより、従業員の健康リスクが高まっている。また、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の未治療や治療中断が重症化につながるケースも多い。2021年には、健康診断未受診の運転者による健康起因事故が行政処分対象となるなど、健康管理は事業者にとって喫緊の課題となっている。
ヤマト運輸とアルフレッサは2019年に「医薬品流通研究会」を立ち上げ、医薬品の新たな流通ネットワーク構築に取り組んできた。その中で、オンライン医療の活用が従業員の早期治療や重症化予防につながると判断し、新たなサービスの開発に至った。
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