リテールテック2025、東京ビッグサイトで開幕

▲「リテールテック2025」の会場の様子。4日間で8万人の来場を見込む

ロジスティクス「リテールテック2025」が4日、東京ビッグサイトで開幕した。出展者数は270社、コマ数は1211となり、会期中（3月4-7日）に8万人の来場者を見込む。会場では店頭だけでなくEC（電子商取引）、オムニチャンネルを視野に入れたデジタルソリューションが数多く展示された。

▲ヒット（東京都千代田区）が提供するマイナス30度でも作動するハンディー端末（左）、バックヤードと店頭のデータ連動が容易な新型端末（右）

こうした、流通のさまざまなチャンネル、流れの上流から下流までのモノの動きを一貫して把握、管理したいというニーズは強く、TOPPAN（東京都文京区）はこれまでの流通DX（デジタルトランスフォーメーション）に加え、新しい物流DXブランド「LOGINECT」（ロジネクト）をリリース。昨年4月にブランドを立ち上げ、すでに流通・小売企業への納入も進んでいるという。

商品情報データベースやマーケティング情報、販促・商品情報の一元管理や販促強化といった一連の流通DXサービスに加え、物流データの可視化などのソフトだけでなく、デジタルピッキングシステムやRFID、ICタグなどのハードも含むソリューションを提案した。このソリューションは顧客が利用するWMS（倉庫管理システム）と併用することができ、WMS上のデータを独自のダッシュボードにわかりやすく表示可能。これにより、サプライチェーン（SC）の上流から下流まで、そして庫内での荷物の動きだけでなく、庫内でのワーカーの動きなども把握でき、労務管理に落とし込むことができる。

TOPPANデジタル事業開発センターLOGINECT事業開発部部長の諸井真太郎氏は「時代のキーワードは『協働』」とし、「顧客のリクエストに応えるとともに、ありもののWMSとシステムを共存させることで、スピーディーかつフレキシブルに対応できるのがLOGINECTの強み」と語った。

▲TOPPANブース（左）、TOPPANブースに展示されたアイオイ・システム製マテハン機器（右）

複数のベンダーのシステム、ハードウエアの、いわば「相乗り」は多くのカテゴリーで進んでいるが、その際に問題になるのがデータの互換性。近年では流通BMS（ビジネスメッセージ標準）によるデータの標準化が進み、業者間、システム間のデータのやり取りは負荷が軽減されてきているが、中には、独自のフォーマットによる在庫管理を行っている顧客もいたりと、一筋縄ではいかない。

流通向けクラウドサービス開発のサイバーリンクス（和歌山県和歌山市）のブースでは、こうしたデータの互換性について、WMS開発のシーネット（千葉市美浜区）がレクチャー。

▲サイバーリンクスのブースにおけるシーネットによるレクチャーの様子

物流においては倉庫の各種マテハン-WMS（シーネット）-EDI（電子データ交換）システム（サイバーリンクス）-基幹システム-店舗の間でデータのやり取りが行われるが、EDIとWMSの間で、独自のフォーマットのデータのやり取りが発生することがある。ここのデータのやり取りをスムーズにする機能をWMSに実装しようとすると工数がかかり金銭コストがかかると同時に、導入への時間がかかってしまう。

そこでシーネットはWMSに機能を載せるのではなく、リンネット（福岡市博多区）のコンサルティング/データマッピングを介在させることでコストを軽減し、スピーディーな導入を実現。すでにWMSでは高い評価を得ているシーネットだが、こうしたソリューションにより、食品流通の分野でのプレゼンス向上を目指すという。

ECやOMOマーケティングの普及により、各所に点在する在庫の一貫管理はいや増すばかりである。ユーザーからはよりスピーディーでスムーズな購入体験が求められるが、一方に2024年問題による働き手、輸送力の不足という課題もある。完全な電子データ標準化にはまだ時間がかかりそうだ。しかし、そこに挑戦し、新しい流通・物流の時代を切り拓こうとするソリューションが多く見られる展示会だったと言えるだろう。

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LOGISTICS TODAY編集部
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