調査・データ東京商工リサーチ(TSR、東京都千代田区)は25日、2024年度における「持ち帰り・宅配飲食サービス業」の倒産状況に関する詳細な調査結果を発表した。この調査によると、24年4月からことし2月までの11か月間での当該業種の倒産件数の合計は103件に達していることが明らかになった。この数字は、統計開始以来最多件数を記録した前年度(23年度)と比較しても同水準のペースで推移している。業界全体における経営難の深刻さを如実に示している。
調査結果の詳細な分析によると、資本金1000万円未満の中小企業と個人企業の倒産件数は合計84件に達し、全体の倒産件数の8割を大きく上回る結果となった。特に注目すべき点として、個人事業主が運営する企業の倒産が顕著な増加傾向を示しており、その件数は32件を数え、全体の倒産件数の3割を占めるに至っている。さらに、この傾向は地域を問わず全国的に見られ、特に都市部においては競争の激化による影響が顕著に表れている。
デリバリー・テイクアウト業界には、店舗運営費用を大幅に抑制できることから、比較的少額の初期投資での事業参入が可能という特徴がある。この特徴は、特に個人事業主や小規模な企業にとって魅力的な参入機会を提供している。さらに、コロナ禍では、従来の店内飲食を主体とする飲食店が経営の継続を図るため、デリバリーやテイクアウトサービスへの業態転換を積極的に進める動きが相次いだ。その結果、業界全体として新規参入事業者が急増し、市場の拡大と同時に競争の激化をもたらすこととなった。
一方で、市場を取り巻く環境は大きく変化している。新型コロナウイルスによる特需が収束に向かうなか、業界全体として深刻な課題に直面している。具体的には、食材や包装資材などの原材料費の高騰、最低賃金の引き上げに伴う人件費の上昇、さらにはエネルギーコストの増加など、事業運営に係るコストが軒並み上昇している。加えて、市場参入企業の増加に伴う競争の激化により、売上高の確保が困難になるなど、事業環境は急速に悪化している。この状況下において、特に経営資源や資金力に制約のある零細事業者は、コスト増加分を価格転嫁することも難しく、その経営への影響は顕著に表れている。東京商工リサーチの分析によれば、「今後も厳しい状況が続く」との見通しを示している。業界全体としての構造改革が求められている。
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