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山形県物流実態調査、71%が「ドライバー不足」

2025年4月22日 (火)

調査・データ山形県は22日、物流業界の実態を把握するため、荷主と届け先となる製造業や小売業などの関係業界の動向についてアンケート調査し、その結果を公表した。

調査は2段階で実施。第1段階として、2024年10月から11月にかけて山形県トラック協会加盟の377事業所を対象にアンケートを実施。郵送調査とインターネット調査を併用し、203事業所から回答を得た。回収率は53.8%だった。

第2段階として、ことし1月から3月にかけて詳細な聞き取り調査を実施。アンケート回答事業所の中から特徴的な取り組みを実践する5事業所と、荷主、業界団体など5団体に対し、訪問して面談調査した。

2024年問題については、「影響が出ている」が24.6%、「今後影響が出る可能性がある」が21.2%を占めた。具体的な影響として、「荷主等との交渉の発生」が43.8%で最多となった。「人材確保の難化」が42.7%、「長距離運行等の見直し・廃止」が32.6%と続いた。対応策として事業者は運賃や荷待ち時間削減などの荷主交渉を進めているが、「円滑に進む荷主と進まない荷主が混在している」のが現状という。

(クリックで拡大、出所:山形県)

人手不足対策では、運転手の不足感について「大変不足している」「やや不足している」の合計が71%に達した。

採用状況では「求人を出しても求職者が集まらない」が48.3%を占めた。事業者は対策として「給料・手当の充実」が44.8%、「大型免許取得の支援」が42.4%、「勤務時間帯について柔軟に対応」が33.5%などの取り組みが見られた。

また、ヒアリング調査からは、運転手不足の深刻な実態が明らかになった。「運送業に対するイメージが低く、ドライバーが集まらない」「新卒採用ができず、ほとんどが中途採用で未経験者が多い」との声が上がった。対策として各社は、メンター制度の導入や接客対応などの教育制度の充実、大型免許等の資格取得の全額助成、社宅整備や検診助成などの福利厚生の拡充に取り組んでいる。高齢化も浮き彫りになり、「年齢構成を考えるとドライバーは何人でも欲しい」との切実な声も聞かれた。

生産性向上に向けた取り組みでは、「業務の電子化、ペーパレス化」が71.4%、「従業員管理のデジタル化」が50.0%と上位を占めた。一方で、デジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による生産性向上に取り組む事業者は全体の6.9%にとどまり、デジタイゼーションが主な取り組みであることが分かった。「海運や鉄道などへのモーダルシフト」も2.0%と低水準だった。

調査結果を受け、県は意識啓発や燃料費補助、免許取得支援など具体的な支援策を打ち出す。また、荷主事業者への標準的運賃の周知徹底や、物流効率化に向けたDX導入支援なども進める方針だ。

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LOGISTICS TODAY編集部
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