調査・データ帝国データバンク(TDB)は7日、4月の全国景気動向調査を発表した。運輸・倉庫業界は前月比1.4ポイント減の41.9となり、2か月ぶりに悪化した。
トランプ関税の影響で自動車部品関連の輸送が落ち込んだ。海外経済の減速と税関手続きの混乱も重なり、荷動きは低調に推移した。物価上昇による仕入れコストの高止まりも景況感を下押しした。
業種別では、「普通倉庫」が主要荷主の取扱状況悪化に直面した。自動車部品関連では関税の動向で先行きが不透明となり、在庫調整の動きも強まった。「一般貨物自動車運送」は深刻な人手不足に加え、燃料費や車両維持費の高騰による仕入れ高が収益を圧迫した。「港湾運送」は価格転嫁が思うように進まず、トランプ関税の影響も出始めている。「組立こん包」は物価高に加え、中国の景気低迷による影響を受けた。
一方でインバウンド関連は堅調を維持した。「一般乗用旅客自動車運送」は観光客の増加により好影響を受け、10月には運賃改定も予定している。「旅行業代理店」はインバウンド関連の引き合いが増加した。「一般貸切旅客自動車運送」は2024年問題による仕事の制限により単価が上昇傾向にある。また、売上単価は上昇したものの、その分利用率が低下する傾向もみられた。
先行きについて、運輸・倉庫業界は複合的な課題に直面している。TDBの調査によると、運転手の不足感について「大変不足している」「やや不足している」の合計が71%に達した。「求人を出しても求職者が集まらない」との回答は48.3%を占める。各社は給与・手当の充実(44.8%)や大型免許取得支援(42.4%)などの対策を講じているものの、人材確保は依然として難しい状況が続いている。
2024年問題への対応も本格化している。「影響が出ている」(24.6%)、「今後影響が出る可能性がある」(21.2%)と回答した企業が約半数に達した。「荷主等との交渉の発生」(43.8%)、「人材確保の難化」(42.7%)、「長距離運行等の見直し・廃止」(32.6%)といった具体的な影響も表れ始めている。
同社は「トランプ関税の影響や円安、燃料・物価高が続く見通しで、当面は弱含みで推移する」とみている。一方で、インバウンド需要の継続や運賃改定の浸透、デジタル化による業務効率化の進展が下支え要因となる可能性もあるとした。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com