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「Nano-Stream」による自動化、スモールスタートが導く事業成長

中小企業の頼れる伴走者、ROMS小型自動倉庫

2025年6月3日 (火)

話題自動倉庫といえば、大企業が大掛かりな設備投資で導入するもの。そんな“先入観”の打破に先陣を切って取り組んできたのがROMS(ロムス、東京都品川区)だ。

「人手不足は中小企業にこそ深刻な課題。事業の継続や成長の根幹をなす作業者を確保できない状況をどうやって解決するのか、真剣に自動化を検証する局面」と、同社の代表取締役社長・前野洋介氏は語る。

▲ROMSの前野洋介社長

確かにこれまでの自動倉庫といえば、大手マテハン機器メーカーによるスケールの大きなものがほとんど。設置場所や条件に制限がある中小企業に対応できるソリューションや、同じ視座で相談できるベンダーがいないことが、普及の妨げとなっていたことは否めない。

こうした物流業界の常識に風穴を開けたともいえるROMSの自動化ソリューションについて、前野氏と、取締役経営戦略室長の阿部翔太郎氏に話を聞いた。

スモールスタートを成功に導く、ROMSの信念

ROMSがこだわるのは、「限られたスペースでも高い作業効率と保管効率を両立させ、自動化・省人化のスモールスタートを支援する」(阿部氏)こと。同社が物流業界に一石を投じた自動倉庫「Nano-Fulfillment Center」(NFC、ナノ・フルフィルメントセンター)は、わずか100平方メートルほどの空間の中にコンテナを高密度で保管するラック、そこからコンテナをピックアップするスタッカークレーン、搬送コンベヤーと作業ステーション、そしてロボットアームを構築してみせた。

「大企業だけではなく、中堅・中小企業にまで、自動化や効率化、DX(デジタルトランスフォーメーション)が普及しなくては、抜本的な物流危機の解決、物流の革新には至らない。多様な事業者にとって、自動化が身近な選択肢になることが目標」と阿部氏は語る。

▲取締役経営戦略室長の阿部翔太郎氏

より多くの事業者が本当に必要な規模・能力で導入できるような選択肢を増やすため、ROMSはNFC以外にも多彩な自動化ソリューションを提供する。

作業ステーションへのコンテナ搬送を固定式の搬送コンベヤーではなく、AGV(無人搬送車)で行うなど、固定的な設備を極力排した「Nano-Stream」(ナノ・ストリーム)は、事業成長や、繁閑差に応じた柔軟な倉庫運営を可能にするソリューションだ。「機器の能力を左右する、コンテナピックアップ用のラック吊下げ式着脱クレーン、搬送用AGV、作業ステーションなどの数を自在に変えることで、最適な規模で現場が求める運用を実現する。スモールスタート後に、その導入効果を検証しながらの運用の見直しを行うことも、ナノ・ストリームならばスムーズに後押しできる」(阿部氏)。まずは初期投資を抑えて、現場が本当に求める規模に応じたシステムを提供すること。それが、物流業界全体の底上げにつながるというのが、ROMSの信念だ。

▲Nano-Stream(ナノ・ストリーム)

ハードとソフト両面の先進技術が、規模、業種を超えて評価

ナノ・ストリームは市場投入からほんの1年ほどで、すでに複数件の導入・受注が報告されており、省スペース性能にこだわった開発力と技術力への評価が導入実績に表れている。狭小空間という制約のもとで極限まで小型化したハードウエアの技術力。さらに、その狭小スペースでも複数の機器をシームレスに協調させる群制御技術や、現場が自動倉庫に求める機能を幅広く反映させたソフトウエア能力の高さが、市場で認められた状況だ。

物流効率化などを目的に、国土交通省や経済産業省などが中小事業への自動倉庫導入補助金を打ち出したことも後押しになったという。「特に昨年は中小事業者からの相談が急増。自動化が現実的な成長戦略となり、それに対応するソリューションが探し求められたのだろう」と前野氏は語る。

ことしに入ってからは、中小だけではなく大企業からの相談も増えているという。単にコンパクトさを求めるのではなく、小さなスペースに必要な機能をすべて詰め込んだハードとソフト両面の開発力の高さには、大企業も注目している。

他社との圧倒的な違いを生む、内製・“MADE IN JAPAN”のこだわり

柔軟性・拡張性などのセールスポイントを掲げて追随するベンダーも増加しているが、前野氏は「市場に選択肢、競争相手が増えることは、業界にとっては喜ばしいこと」という。スモールスタートへの取り組みの正しさが認められ、ROMSのシステム優位性を明らかにするチャンスと位置付ける。

「ROMSは、ハードウエアからソフトウエアまで一貫して内製し、“MADE IN JAPAN”にもこだわる。内製だからこその柔軟な対応力、日本の物流事情に精通したきめ細やかなサポート、そして日本製ならではの信頼性。同じ時間軸・同じ現場感覚で並走できるからこそ提供できるサービス品質が、ROMSならではの優位性」だと語り、その揺るぎないこだわりと自信こそが、他社との違いを生んでいる。

日本の作業者にとって、わかりやすく操作しやすいUIデザインの構築や、震度5強以上を想定した保管ラックの構造なども、日本ならではの物流事情を熟知した同社ならではのこだわりといえるだろう。震災を想定してない自動倉庫の場合、震災によるラック全体のズレや倒壊、それによる保管品や作業者への影響も想定されるケースもあるという。ROMSのソリューションは、こうした事態も想定した「日本製」の信頼を形にしたものといえる。

▲ナノ・ストリームはAGVと連携、もちろんAGVも内製にこだわる。

前野氏は、「海外ベンダーのような野心的な開発スピードを備えながら、日本ならではの品質基準にこだわったシステム」と表現する。運用現場の声に常に耳を傾けながら日々アップデートを続け、より高品質なソリューションへの進化を目指す。

補助金活用も含めて、事業成長の可能性を検証せよ

今回の取材は、越境EC(電子商取引)事業者が稼働準備を行なっている現場で行われた。ナノ・ストリームが設置されているのは、160平方メートルほどのスペース。保管ラックの高さは一般的な貸倉庫の標準的な有効天高5.5メートルをフル活用した5.3メートル。既存の運用スペースを最大限に利用できる設置の柔軟性が生かされている。43.6リットルの既製品のコンテナを3500個保管し、機器台数を増やすことで1時間に最大400-600行/ステーションの処理能力を発揮する。

阿部氏は、「導入企業にとって、この自動倉庫システムを運用していること自体が、ライバル企業との差別化ポイント。事業成長に必要な顧客拡大のための設備投資に位置付けられている」という。物流事業者は国や荷主が求める物流効率化への対応が求められ、コンペでは自動化提案が前提となる時代。この現場では、経済産業省の補助金を活用してナノ・ストリームを導入することで、事業成長に取り組んでいるという。

自動化や効率化の推進は、国が望む方向性でもある。中小企業向けに用意された補助金制度などを積極的に活用することは、事業者として求められる効率化の使命を果たすことにもつながる。とはいえ、「どんな補助金があるのか、申請には何が必要かなど、特に中小企業には補助金利用のハードルも高い。自社に最適なソリューションの選定と合わせて補助金利用も想定し、まずは気軽に私たちに御相談頂きたい」と、阿部氏はアドバイスする。

中小企業は、失敗しない自動化のために伴走者を見分ける力を

さて、中小企業は自動倉庫の導入にあたって、どんな点に注意すればよいのだろう。前野氏は、「自動倉庫だけを見るのではなく、前後のオペレーションを含めて全体最適の視点で検証すること」が大切だという。保管やピッキングを自動倉庫で改善したいという相談でも、いざ検証すると、前後工程や管理システムなどに課題があるケースが少なくない。自社の業務全体を俯瞰して、必要なツールを見極めることが必須だと強調する。

また、棚卸機能などの実運用に必要なソフトウェアの機能要件が整理できていないことも中小企業特有の課題だという。ROMSのように標準性能だけで多くの機能要件を満たすシステムでなければ、必要に応じてオプション機能の追加発注が必要で、結果的に高価なシステムになることも多い。これを避けるには、ハードウェアだけでなくソフトウェアにも目を向け、まずは何より課題や要望を率直に共有でき、信頼して相談できるベンダーの選定こそが、失敗しない自動化のポイントだ。

柔軟な対応力や、標準機能のポテンシャルの高さは目には見えないものだけに、判断が難しい領域だろう。見た目やネームバリューにとらわれない相談相手の選定には、各地の物流展示会などに足を運び、実機や担当者から直接情報を得るといった行動も、事業成長にとっては不可欠だと前野氏はいう。

ROMSが目指すのは、真の物流革新のために、「自動化に不安を抱える事業者に、最後まで伴走して使いこなしてもらうこと、次のステップへのスムーズな移行につなげてもらうこと」(前野氏)。中小企業にとって自動化投資の失敗は単なる損失にとどまらず、自動化そのものへの意欲を失わせかねない。そんな事業者を一人でも減らし、スモールスタートから小さな成功体験を積み重ねてもらうこと。それを多くの中堅・中小企業で実現することをROMSの使命に掲げる。

数多くの事業者が自動化への着実な一歩を踏み出せることが、事業者、ROMS双方にとっての次の試行錯誤、次の進化へとつながる。ROMSのソリューションが提供する可変性、柔軟性、拡張性を基盤としたスモールスタートから生まれるのは、次代の物流を担うリーダーかもしれない。

ROMSの無料オンラインセミナー

倉庫自動化、最初の一歩 -「スモールスタート」で始める、自動化入門 –
▪日時:2025年6月18日(水)10時-10時45分
▪形式:オンライン開催(Zoom)
▪参加:無料

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