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昨年の市場退出法人は6万社超で過去最多、TSR

2025年7月25日 (金)

調査・データ東京商工リサーチは25日、昨年1年間に倒産や休廃業、解散で市場から退出した普通法人(退出法人)は前年比27.1%増の6万1613社と大幅に増加し、2015年以降の10年間で最多となったとするレポートを公表した。全体に占める退出法人の割合(退出率)も2.06%で、前年の1.65%から0.41ポイント上昇し、過去最も高い退出率となった。

退出法人の内訳は、倒産が8579件で前年比14.5%増、休廃業・解散が5万3034件で同29.4%増だった。休廃業・解散は前年2年ぶりに減少したが、昨年は3割近い大幅な増加となった。コロナ禍の手厚い支援が終了したことや、代表者の高齢化などが背景にある。倒産も21年の5082件を底に3年連続で増加している。

退出率を産業別に見ると、最高が情報通信業の4.52%(前年3.46%)で、集計可能な13年以降で初めて4%を超えた。情報通信業は、ソフトウェア開発などを中心に新規参入が多いうえ、下請けも多い産業構造から価格転嫁が進まない小・零細企業も多数見られる。コロナ禍以降、DX化の推進で市場は拡大しているが、市場ニーズや技術革新歩に対応できず、クライアントの獲得競争に敗れた企業の淘汰が進んだ。

次いで、小規模の保険代理業者などの退出が続く金融・保険業が2.97%(同2.61%)、仕入れコストの上昇などで収益を圧迫されている卸売業が2.93%(同2.09%)と続いた。

2015年を100とした退出法人数の指数(退出指数)で見ると、24年の全産業は165.1で、前年から35.3ポイント上昇した。過去10年では、23年の129.8を上回り、15年以降で最高になった。

産業別では情報通信業の218.8が最も高く、前年から57.7ポイント上昇した。次いで、入れ替わりが激しいサービス業他が202.1、金融商品取引業や保険代理業などを含む金融・保険業が196.3で続いた。上位3産業は3年連続で変わらない。

一方、退出指数が最も低いのは建設業の129.6で、震災復興需要や低金利政策による民間建設投資の活発化などで、他産業に比べ退出法人数の増加が抑制された。しかし、深刻化する人手不足のほか、材料費や人件費の高騰などで、退出法人数は増加傾向で、退出指数が今後急速に上昇していく可能性もある。

今年の上半期(1-6月)の倒産は4990件で4年連続の増加となった。特に「人手不足」倒産が深刻化している。さらに、トランプ関税の影響も懸念され、同社は「製造業を中心に見通しが立たない企業も見られ、今後も退出率の上昇が続く恐れがある」としている。

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LOGISTICS TODAY編集部
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