ロジスティクス全日本トラック協会(東京都新宿区)の平島竜二副会長は22日、都内で開催中の「アジア・シームレス物流フォーラム2025」で、「国内トラック運送業の多重下請け構造と物流業界で取り組むべき解決策・規制のポイント」をテーマにしたパネルディスカッション(討論会)にパネラーとして参加し、全ト協の「多重下請構造のあり方検討会」がまとめた提言内容を解説した。その中で、平島氏は「トラック運送業界の多重下請け構造を是正するため、下請けは2次までに制限すべきだ」という全ト協の主張を改めて強調した。

▲全日本トラック協会の平島竜二副会長
全ト協では23年に坂本克己会長の諮問機関として同検討会を設置。適正な運賃確保によるドライバー賃金水準の引き上げなどを目的に、トラック運送業界の多重下請け構造の是正に向けた議論を進め、24年3月に提言をまとめた。
平島氏は討論会で、いわゆる水屋(利用運送専業事業者・取次事業者)ビジネスについて、「水屋は、すべてではないが、輸送に対して無責任で、明確な運行指示のない単なる横流しを行っている実態がある。何らかの規制をすべきだ」と指摘。さらに、求荷求車システムなどのマッチングサイトに対し「掲示板に標準的な運賃と乖離した低い運賃が提示されないよう利用者に警告する機能を設けるなど対策を講じること」を求めた。水屋対策として各都道府県トラック協会に利用運送事業者を協会に入会させないよう働きかけをしていることも明らかにした。
また、「帰り荷」という考え方が運賃下落につながっているとの認識から、平島氏は「『帰り荷=低い運賃』という認識を一掃するためにも、帰り荷という言葉を使うのをやめるべきだ」と提言した。
全ト協では、貨物自動車運送事業法の一部改正案として、5年ごとの事業許可更新制の導入、適正原価を下回る運賃・料金の制限、委託次数の制限、白トラ利用の荷主の取り締まり強化などを求めている。平島氏は、こうした新たなルールづくりでは議員立法による早期の法制化を目指していることも併せて報告した。
討論会は、流通経済大学の流通情報学部長兼教授である矢野裕児氏がファシリテーターを担当。平島氏のほかに、ロジスティード東日本の東日本地区本部水戸営業部担当部長の前田陽一氏がパネラーを務めた。前田氏は、地場トラック運送会社で組織化する協同組合との連携など、自社が茨城県エリアを中心に展開している多重構造健全化に向けた取り組みを紹介した。

▲(左から)流通経済大学教授の矢野裕児氏、平島氏、ロジスティード東日本の前田陽一氏
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