
▲シズオカコールドストレージに導入されている「PascalAir(パスカルエア)」(出所:前川製作所)
サービス・商品前川製作所(東京都江東区)は2日、シズオカコールドストレージ(静岡県焼津市)の冷凍マグロ倉庫で自社の空気冷凍システム「PascalAir」を活用し、中部電力ミライズ(名古屋市東区)と共同で需給調整市場向けデマンドレスポンス(DR)を開始したと発表した。超低温用冷蔵庫(SF4級)に導入された冷凍機をリソースとする需給調整市場への参入は、国内初としている。
DRとは、電力の需給状況や再生可能エネルギーの発電量に合わせて、利用者に電気の使い方の最適化を促すもの。今回の取り組みは、マイナス50度以下の超低温環境を維持するSF4級冷蔵庫に導入された冷凍機をエネルギーリソースとして活用し、国内で初めて需給調整市場に参入するものだ。需給調整市場は2021年4月に開設され、再生可能エネルギーの出力変動に対応するため、電力の需要と供給を調整する仕組みを提供している。
冷凍マグロ倉庫はマイナス60度を基準とする超低温環境で運用されており、庫内のマグロ自体が保冷剤の役割を果たすため、一時的に冷凍機の稼働を抑制しても温度変化が小さい特性がある。この特性を生かし、DRでは中部電力ミライズの高速自動制御システム「MiFFS」からの指令を受け、「PascalAir」が自動で電力使用量を削減する。DR終了後は冷却運転に自動復帰する仕組みで、シズオカコールドストレージ側の操作負担を最小化することが可能だ。需給調整市場では、高精度かつ高速な電力制御が求められ、今回の取り組みでは送配電事業者からの指令に60分以内で応動する必要があるため、冷凍倉庫の負荷設備を活用したDRの仕組みは、今後の再生可能エネルギー普及と電力系統の安定化に向けた調整力確保の一環として期待されている。

▲冷凍マグロ倉庫を活用したデマンドレスポンスのイメージ(クリックで拡大、出所:前川製作所)
2025年度の調整力供出結果を踏まえ、両社はデマンドレスポンス対応型空気冷凍システムの普及拡大に向けて技術開発と導入拡大に取り組む。
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