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ホンダがCLO選任「組織作りが急務」データ活用も

2025年7月14日 (月)

ロジスティクス本田技研工業の永野岳人部長は11日、「運輸デジタルビジネス協議会」(TDBC Forum 2025)で講演し、2024年問題や相次ぐ法改正を受け、「持続可能な物流の実現に向けた荷主としての取り組み」について説明した。

来年から本格化する特定荷主制度やトラック適正化二法への対応を進めるなかで、多様な商材を扱うが故のデータ把握の難しさといった課題に直面していることを明らかにしながらも、「法規対応を契機に、データ利活用による物流効率の向上を目指す」と、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していく姿勢を強調した。

(出所:TDBC)

永野氏はまず、自社の物流効率化に向け、動態管理システムの運行データと貨物情報を連携させた物流分析ツールの開発を進めていることを報告した。しかし、「二輪車もあれば四輪の完成車もある。補修部品もあれば調達部材もある」と述べ、多種多様な商材と輸送機器が存在するため、統一的な指標での分析が極めて難しいという課題を提示。そのため、現段階では「まずは時間把握と短縮を最優先で行い、積載効率の向上はいろんなモードを見ながら、どれから作り続けていくのかを考えている最中だ」と、段階的に取り組む方針を示した。

2025年度から施行される特定荷主制度について、永野氏は「CLO(物流統括管理者)はこの4月に選任済みだ」と報告。一方で、「CLOは1人では何もできない。それを支えるスタッフ組織の発足とその合理化が急務だ」と指摘。国が求める中長期計画や定期報告の様式イメージは示されているものの、「一体誰がどうやって情報を収集し、計画や実績を算出するのか、というのはこれから。特定荷主として、今スタッフ組織の発足に向けて推進中だ」と、実務上の体制構築に追われている現状を語った。

出所:TDBC)

2026年6月までに施行されるトラック適正化二法の委託次数制限への対応についても課題を挙げた。元請け事業者から「実運送体制管理簿」を取り寄せたものの、「他社の荷物の混載などがあって、ホンダだけのものを抜き出すことは非常に難しく、まだまだ使えない状態だ」と説明。今後は元請け事業者と協議を進め、自社の実運送情報を正確に把握できる体制を構築していくという。

また、改正下請法で求められる「3条書面」の交付義務についても言及。日々の電子的な受発注データと、月次の請求処理をどう紐づけて書面を作成するか、法務部門も交えてシステム改修の検討を進めていることを明らかにした。

永野氏は最後に、「対応すべきことを正しく理解して、ありたい姿をまず最初に提示し、ステークホルダーの賛同を得ることが非常に大事。法規対応を、単なる対応だけで終わらせるのはもったいない。データ利活用による物流効率の向上を目指すという地道な活動が必要だ」と締めくくり、荷主として法改正に真摯に向き合い、それを物流改革の好機と捉える姿勢を示した。

(出所:TDBC)

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