調査・データユーピーアール(upr)は23日、「物流の2024年問題」に関する調査結果を発表した。同社が843人を対象に実施した調査によると、企業の7割が人手不足やコスト圧力などの影響を既に実感しており、その対応策として「パレット輸送」と「企業間連携」が注目されていることが明らかになった。
調査は2月27日から3月21日にかけて実施した。物流の当事者である倉庫・運輸業だけでなく、荷主側のメーカーや卸売業も同様に影響を認識しており、サプライチェーン全体に課題が波及している実態が浮き彫りとなった。
具体的な影響としては「運賃・物流費の高騰」や「車両・チャーター手配困難」が多数を占め、コストと輸送力の両面で企業活動を圧迫している。影響を実感している回答者が直近で解決すべき具体的課題として挙げたのは「人手不足」(56.1%)と「手積み手下ろし(手荷役)」(50.8%)の二大課題だった。
今後3年間の展望では、課題認識が3年前の調査と比較して大きく変化している。今後検討すべき物流課題が「ある」と回答した企業は87.2%に達した。3年前から7.4ポイント上昇した。将来の最大課題は「人手不足」(67.3%)で、3年前から17.3ポイントも急増している。これは単なる人数の問題だけでなく、能力ある人材の不足や後進育成といった質的な課題も含まれている。
このような課題に対する対応策として「パレット輸送の推進」を挙げる企業は48.6%に上った。3年前から23.2ポイント大幅に増加した。荷役の効率化と標準化が人手不足解消の切り札として強く期待されていることが分かった。また、「外部パートナーや物流会社同士との連携」(39.3%)が対応策の上位に浮上し、共同配送などによって活路を見出そうとする動きの活発化が判明した。
同社は調査結果から、持続可能な物流体制の構築には「パレット輸送」による徹底した効率化・標準化と、「共同配送」などを通じた業界全体での輸送網最適化が重要だと指摘している。さらに、透明性の高い情報共有のもと、サプライチェーン全体でコストとリスクを分担し、持続可能な関係性を築く視点も不可欠としている。
調査からは、物流の24年問題が単なる一過性の現象ではなく、日本の物流業界全体が直面する構造的な課題であることが明確になった。特に注目すべきは、現場負荷とコスト圧力という二重の苦悩に多くの企業が直面している点だ。企業の7割が既に影響を実感し、9割近くが将来への危機感を抱いているという深刻な状況は、個社の努力だけでは解決できない段階に達している。「パレット輸送」による効率化と標準化の徹底的追求、「企業間連携」による競争から協調へのシフトという2つの戦略の重要性が、本調査を通じて改めて確認できた。
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