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【年頭所感】自動車船部門、モデル見直し必要[川崎汽船]

2011年1月4日 (火)

話題「2010年度第2四半期決算で、連結売上高が前年同期比29.9%増となり、経常利益は史上最低であった2009年度第2四半期の499億円の赤字から428億円の黒字へと、改善を達成することができた。2009年度赤字のほとんどを占めていたのがコンテナ船部門だったが、昨年はじめに全世界のコンテナ船腹の12%に当たる150万TEUの船が停・係船状態にあった。その後は当初の予想を上回る荷量の回復により徐々に解除された。

 

社長に就任するにあたり、第一のミッションは、黒字化と早期復配だったが、高価格のコンテナ船の傭船を解約するなどの手段も講じながら、その主要かつ緊急のテーマであったコンテナ船事業が幸いにも2010年度上期に256億円の経常利益を上げることができたこともあり、早期達成をすることができた。引き続き『財務体質の改善・強化』、『安定収益基盤の拡大と持続的成長』については、新たな経営計画の策定を射程として設置した事業構造改革部会と組織改革部会の二部会の重点項目として、完遂すべき目標の深度化に取り組んでいるところだ。

 

一旦、V字回復した同社があらためて経営のスタートをきるためには、各部門ともにコペルニクス的転回ともいうべき新たなグローバルな視点で事業計画を策定することが必要だ。コンテナ船部門では、さらなる体質の改善、競争力の強化に継続して取り組んでこそ、熾烈なコスト競争を勝ち抜き、南北航路、成長いちじるしいアジア域内を含むいかなる航路でも、確固たる地位を築き上げることが可能となる。

 

ドライバルク部門では、日本の顧客との関係をいっそう強固にするとともに、引き続いて中国、インド、ブラジルやその他新興国での需要を着実に取り込む事業を進めなければならない。在ロンドン、シンガポールの海外現地法人ともども、幅広く事業の展開を図るべく新たな取り組みが期待される。

 

自動車船部門では、主力の日本からの輸出環境に構造的な変化が起きつつあるとの認識を持って、従来のビジネスモデルの見直しを迫られている。自動車の輸送台数だけを焦点とせず、建機などのRORO貨物への取り組みや成長地域の特性もきめ細かく検討しつつ、大きな変化の波に対して今まで以上にダイナミックな発想で立ち向かうことが求められている。また、エネルギー資源輸送部門では、油槽船やLNG船の市況低迷が長期化する一方、オフショア支援船、大水深対応ドリルシップ、洋上LNG生産船といった数々のエネルギー資源開発周辺の新事業に積極的な投資を行っている。今後は既存事業の構造改革を進めることと並行して、これら新事業を収益の柱のひとつとして育てていかなくてはならない。事業の成長性、収益性や投資効率の観点からもエネルギー資源輸送部門全体としての将来像を大胆な発想をもって描いていくことがますます重要になる。

 

重量物輸送部門では、需要の回復を的確に捉えた事業展開を進めるべく、それに資する投資と組織の再検討が、また物流事業部門では、昨年の米国フォーワーディング会社の買収を契機として、グループとしての物流事業のあらたな展開が、それぞれ重要な課題であると認識している」(川崎汽船、黒谷研一社長