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【年頭所感】物流で海運のマイナス補う[日本郵船]

2011年1月4日 (火)

話題商事始め式であいさつする工藤社長「定期船事業については、昨年の教訓により、とにかくムダなスペースを運航しないという、ごく当たり前の行動が収益安定の最大の方策であることを各社ともに学習した。属するコンソーシアムだけでなく、他社も既に欧州サービスの減便を実施しており、学習効果は続いている。そのおかげで現在まで運賃レベルは想定範囲内で推移し、今後も安定した収益計上が可能と考える。ただ、昨年前半に経験した想定以上の需給逼迫(ひっぱく)は、既に実施済みの減速航行と新規供給圧力によって今後当分の間は起こり得ないとみるべきで、今後の利益水準は昨年前半を下回ると覚悟する必要がある。このマイナス部分をどこで補うかと言えば、それは当然、物流事業だ。

 

リーマンショック後の『宜候プロジェクト』で欧米の物流事業の体質改善は相当に進行し、競争力も大幅に改善した。DWE(ダブル・ウイング・エクスプレス)すなわちNVOCC事業も急速に拡大しており、今後、収益貢献が大いに期待できる。また今や物流事業の収益の柱であるアジア地域は、先行投資のおかげで同社グループの得意科目である自動車物流急拡大の波に本当にうまく乗ることができている。物流事業の推進役たる郵船ロジスティクスは、昨年10月にまず日本で統合の上、スタートしたが、海外の統合は計画以上のスピードで進行しており、本年4月にはおよそ7割の統合が完了し、物流事業拡大のテンポをさらに速めてくれるものと確信している。

 

機材の全面入れ替えと血のにじむコスト削減により、損益分岐点を大幅に下げることに成功した日本貨物航空は、荷動回復と運賃修復で、2011年3月期は75億円もの経常利益の計上が見込まれる。現在、さらなる収支向上をめざして努力中だが、残念ながら日本発着市場は今後飛躍的な成長は期待できず、さらに拡大していくには、海運・物流事業同様、海外市場の拡大しかない。そのためには中国、あるいは欧米でのパートナーの確保が必須であるとの認識の下にパートナーの選択に努めている」(日本郵船、工藤泰三社長