サービス・商品インターステラテクノロジズ(IST、北海道大樹町)は12日、小型人工衛星打上げロケット「ZERO」の初号機に搭載する顧客5件が決定したと発表した。同社は観測ロケット「MOMO」で国内民間企業として初めて宇宙空間到達を達成しており、今回の発表は商業宇宙輸送の実用化に向けた大きな一歩となる。初号機から民間顧客の衛星を搭載するケースは世界的にも珍しい。
契約先は、シンガポールのOcullospace、米国のWolfpack、大阪公立大学小型宇宙機システム研究センター(SSSRC)、東京都市大学、韓国のDALRO Aerospaceで、アジアと米国の2社・団体および日本の2大学の衛星4機を搭載する。衛星はいずれも小型のキューブサットで、IoT通信実証、高エネルギー粒子検出、三次元形状計測、教育目的のミッションなど、多様な用途に対応する。DALRO Aerospaceは衛星分離機構を提供し、SSSRCと東京都市大学の衛星で実証する。

(出所:インターステラテクノロジズ)
ロケット打上げは、人工衛星を所定の軌道に投入する「宇宙版の物流輸送」と位置づけられる。特に小型衛星市場では、従来の大型ロケットでは輸送効率やタイミングに制約があったが、小型専用機のZEROは少量多頻度輸送を可能にする。これにより、研究機関や中小企業も打上げ機会を得やすくなり、宇宙利用の裾野が広がる。
今回の衛星群には、LoRaやNB-IoTによる地球低軌道での通信試験、学生や地域住民が参加する教育ミッション、木製構造材の宇宙耐久性試験などが含まれる。これらは輸送対象の多様化とともに、宇宙空間を活用した新サービス開発の可能性を示すものだ。
インターステラテクノロジズは、国内外のスタートアップや教育機関と連携し、宇宙輸送インフラの整備と産業基盤の強化を進める方針を示している。小型衛星打上げ需要の拡大に対応し、日本発の宇宙物流ルート構築に向けた取り組みを本格化している。
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