イベント2024年問題、物流危機の顕在化以降、東京・大阪で開催される主要な物流展示会は右肩上がりで規模を拡大し続けている。物流の見直しが重要な事業戦略に位置づけられ、取り巻く法令への対応、情報通信技術やAIの進化で各種ソリューションも絶えず新しい提案へと更新され続けている。
ことし10月8日と9日には、ついに九州エリアで初となる物流に特化した展示会、「[九州]次世代物流展」が開催されることとなった。初開催ながら、出展者は120社を超え、ただ九州エリア初というだけではなく、現時点で最新の物流課題解決提案を確認できる展示会としても注目されていることがわかる。
会場は福岡市博多区のマリンメッセ福岡A・B館。福岡市は、都市開発や人口流入などで今後も人口増が予想され、急拡大する消費圏配送や配送商材の多様化など、全国に先駆けた取り組みが求められるエリアである。その一方で周辺都市や九州全域を見渡せば、福岡市への人口集中が続くのとは反対に、非効率な物流の維持や人手確保といった問題が顕著となる事態も予想される。効率化の急先鋒としての九州エリアの動向に全国的な関心も集まるだろう。
熊本エリアの半導体需要に対応する新たな拠点計画や物流構築なども、このエリアならではの特色だ。[九州]次世代物流展では、同時開催される[九州]半導体産業展と合わせて、よりこの領域に特化した気づきを得ることもできるだろう。
また、本州主要都市から距離があるがゆえに、モーダルシフトや幹線輸送の再設計も重要性を増しており、トラック長距離輸送にかかる制約が直撃した九州では、いち早く多様な物流モード活用も検証されてきたのではないだろうか。さらに、アジア近隣諸国との短距離輸送圏にある戦略的立地を考えれば、国際物流インフラの整備やDX(デジタルトランスフォーメーション)、航空輸送などもエリアにとっての喫緊の取り組み事項と言えるだろう。
こうしてみると、24年問題に直面する物流業界にとって、物流効率化や生産性向上など、九州エリアでは次世代の社会実装に挑む土壌が育まれているのがわかる。CLO(物流統括管理者)設置義務化まで半年というタイミングの開催も、特別セミナーなどで業界の最新情報を入手するラストチャンスといえるだろう。[九州]次世代物流展は、物流対応の最前線となるこの地での展示会として、次代の標準となる解決策が集う“現場起点のヒントの宝庫”が集結する絶好の機会である。