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編集部が見た最近(10/6-17)の物流ニュース雑感

2025年10月17日 (金)

ロジスティクス本誌編集部の記者たちが注目した直近の物流ニュースを取り上げ、裏側の背景や今後の影響について座談会形式で語り合いました。記事本文だけでは伝えきれない現場の空気感や取材の視点を、読者と共有するのが狙いです。今月上旬のトピックを整理してみましょう。

南日本運輸倉庫、ベトナムでインターン説明会開催

南日本運輸倉庫(東京都中野区)は、ベトナム・ホーチミンで日本就職を希望する学生を対象にインターンシップ説明会を開催した。同社は2015年から現地の大学と提携し、物流実務や日本語教育を通じた人材育成を進めている。今回は現地大学の物流学部生ら100人が参加し、日本での就労環境やキャリア形成の具体例を紹介。現地採用担当者は「将来は日本とベトナムの物流をつなぐ人材に育ってほしい」と語った。説明会後には個別相談会も行われ、学生からは「海外で物流を学べる貴重な機会」といった声が寄せられた。同社は今後もアジア地域での人材ネットワーク拡大を図り、海外展開と人材育成の両輪で事業基盤を強化していく考えだ。
記者A「ベトナムのドライバー育成って、日本で免許を取らせたり日本語を教えたり、すごく丁寧にやってるんですよね。でも一方で、ほかの国では“送り出しビジネス”みたいにちょっと怪しいやり方もあるって聞きます。南日本運輸倉庫はその点、交通ルールや安全教育をきっちりやっていて、命を預かる仕事として真面目に向き合ってるのが印象的でした。ベトナム運輸省から正式に認められてるのも大きいです」

記者B「なるほどね。外国人ドライバーの採用って、アサヒロジスティクス(さいたま市大宮区)なんかでも少しずつ広がってきてるよね。スピードはゆっくりだけど、確実に事例が増えてきてる感じがする」

記者C「昨日、別の会社で聞いたんだけど、実際のところ“PR目的”で始めてる企業も多いんじゃないかという話。コストもかかるし、言葉の壁もあるし、現場でいきなり戦力になるわけじゃない。でも、新しいことに挑戦してる姿勢を見せたい、という狙いもあるみたいだね」

記者D「確かに。アサヒロジスティクスも試験的に取り組んでる段階ですよね。どこまで現実的な採用手段になるかは、もう少し時間をかけて見ていく必要がありそう」

記者B「人手不足とかコストの問題で注目されてるけど、トラック新法で賃金が上がって日本人ドライバーが戻ってくるようになると、外国人ドライバーの需要は減ることもあるかもしれないよね」

記者A「そうそう。運転って命を預かる仕事だし、日本語や交通ルールを理解しないといけない。だからこそ、ただ人手が足りないからという理由で広げすぎるのは危険でしょう」

記者B「うん。いい面も悪い面もちゃんと見ながら、現場のリアルを伝えていくことが大事。今後もこの動きはしっかり追っていかないといけないよね」

ブルーカラーの地位向上へ、AI時代が追い風に

AI(人工知能)や自動化の進展が進むなか、ブルーカラー職の再評価が進んでいる。今回の調査を担当した研究チームは、「AI時代の働き方の再定義」を目的に、現場職の価値がどのように変化しているかを分析した。その背景には、米国など海外でトラックドライバーの賃金が急上昇しているという潮流がある。人手不足や長時間労働の是正が進むなか、現場職が高い報酬を得るケースが増えており、従来の「ブルーカラー=低賃金」という固定観念が崩れつつあるのだ。担当者は「日本でも同様の流れが始まりつつある。AIが単純作業を代替するほど、人にしかできない現場判断や技能が価値を持つ」と指摘する。調査の狙いは、こうした国際的な変化を踏まえ、現場労働の地位を単なる“補助的労働”ではなく“価値創造の中核”として再定義することにある。

記者D「先ほど“そんなにコストかかるなら、外国人雇うより日本人ドライバーにお金払った方がいい”って話が出たけど、それにちょっと関係のある記事。X Mile(クロスマイル、東京都新宿区)が“AIの登場で、オフィスワーカーが現場職に興味を持ち始めてる”っていう調査を出してたんだけど、その背景を掘り下げたら、アメリカだと年収1000万円のドライバーも出てきてるらしくて、現場職全体の賃金水準が上がってきてる。日本でも同じ流れが少しずつ出てて、実際トラックドライバーの給料が上がり始めてる。調査の担当者も“これからはドライバー職が給与面でも魅力的になっていくかもしれない”という話だったね」

記者A「なるほどね。ってことは、法律とか制度の整備も大事だけど、実際は“待遇で人を呼び込む”動きがもう始まってるってことだね。単純にルールを変えるだけじゃなくて、もっと現場のリアルな人手不足の方が深刻って感じなのかな」

記者D「そうそう。もうすでに“うちは給料高いから来て!”っていう引き抜き合戦が始まってますよ。製造業とかでも同じ流れがあるし。で、それに加えて法整備で運賃をちゃんと取って、その分をドライバーに回す仕組みも動いてる。だから、給与と制度の両面から現場の待遇が良くなっていくといいよね」

記者A「そうなれば結果的に、ブルーカラー職全体の立場も少しずつ上がっていくよね。AIの時代だからこそ、現場で働く人の価値が見直されてる感じがするね」

ニチレイG、包装氷の生産・輸送・在庫計画を7割短縮

ニチレイグループは、包装氷の生産・輸送・在庫計画をAIで最適化し、従来比で約7割の業務時間を削減した。需要が気温や天候に左右されやすい包装氷は、繁忙期に在庫過多や欠品が起きやすく、長年の課題とされてきた。今回、グループのロジスティクス事業を担うニチレイロジグループ本社と、製造を行うニチレイフーズ、販売会社のニチレイアイスが連携し、需要予測から製造計画、配送ルートまでを統合的に管理する仕組みを導入した。これにより、各拠点で個別に行っていた計画業務をデジタル化し、情報の一元化を実現。生産・在庫・輸送を横断的に最適化することで、機動的な供給体制を構築した。担当者は「人の経験に頼らず、データに基づいて判断できる体制が整った。今後は他の冷凍食品にも展開していく」としており、食品物流におけるAI活用のモデルケースとして注目される。

記者C「AIつながりなんだけど、ニチレイグループが包装氷の生産とか輸送、在庫計画をAIで最適化して、業務工数を7割も削減。これって単に効率化というだけじゃなくて、AIと現場の関係が変わってきてる象徴的な事例だよね」

記者A「へえ、7割削減ってすごいですね」

記者C「そうなんですよ。今って“AIを使って提案を出す”レベルから、“判断して行動する”段階に進んでいて、いわゆるフィジカルAIの領域に入ってきてる。つまり、AIが自動で判断した内容をロボットがそのまま実行できるようになってきてるんです。物流の現場でも実装が進めば、単純作業はAI+ロボットが担い、人はより難しい作業や判断を求められるようになる。そうすると、ブルーカラー職の価値や賃金の考え方も変わってくると思うんですよね」

記者D「確かに。AIで効率化が進むほど、逆に人にしかできない仕事の重要性が増すっていう見方もあるよね」

記者B「その通り。AIが過去の事例やデータをもとに判断してくれる分、現場の人は“考える力”とか“改善アイデアを出す力”がより求められるようになるんじゃないかな。これまでホワイトカラーがやっていた企画や分析の領域に、ブルーカラーが一歩踏み込むような時代になるのかも」

記者C「AIが単純作業を代行することで、人の役割が変わっていく。だからこそ、“AIに取って代わられる”と不安に感じるんじゃなくて、AIを活かして自分のスキルをどう広げるかを考えるフェーズに来ている気がするね」

記者B「これからは“単純作業ができる人”じゃなくて、“AIを使いこなせる人”が現場でも重宝されるようになるんってことかもね」

記者C「AIが判断・実行まで担うようになれば、ブルーカラーの仕事は“機械ではできない価値”にシフトする。その分、待遇や評価の仕組みも変わっていくはずだよね」

記者D「AIが進化しても、“人の判断が最後の鍵”という部分は残るからね。今後、そのバランスをどう取るかが物流現場の課題になっていくんじゃないかな」

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