ロジスティクスパナソニックコネクト(東京都中央区)は10日、「国際物流総合展2025 第4回 INNOVATION EXPO」の自社ブースで、「現場から始める全体最適化」をコンセプトに掲げ、物流業界の課題解決に貢献するソリューション群を披露した。いきなりサプライチェーン全体の変革に着手するのではなく、各現場のデジタル化から着実に進めることで、最終的に全体最適を目指すというアプローチを提言。サプライチェーン、倉庫、輸配送の各領域で具体的な解決策を示した。
日本のサプライチェーンは、部門や企業ごとにシステムが分断される「サイロ化」が根強い課題だ。取材に対し同社説明者は、「現場は電話などアナログな手段で何とか業務を回しているため、経営層や管理層は問題が顕在化していると認識しづらい」と、経営と現場の間に存在する認識のギャップを指摘する。この状況ではトップダウンの改革は進みにくい。そこで同社が打ち出すのが「現場から変えていく」という思想だ。まずは現場のオペレーションをデジタル化し、そこで得られたデータを基に課題を可視化。ボトムアップの形で改善を積み重ね、サプライチェーン全体の最適化へとつなげる。
「現場起点」の思想は、個別のソリューションにも貫かれている。倉庫ソリューションの中核となるWMS(倉庫管理システム)は、多くの企業が導入する従来のレガシーなシステムとは一線を画す。顧客の現行業務に合わせて開発するのではなく、世界中の優良企業の事例から導き出した「最適な業務プロセス(ベストプラクティス)」をベースに、顧客の生産性向上を支援する。また、AI(人工知能)を活用したシフト作成ソリューションは、物量予測と連携して必要な人員を算出し、作業の組み換えによる無駄を排除。属人化しがちなシフト作成業務の品質を維持する。
輸配送ソリューションでは、ドライバーの稼働データをデジタルで収集・蓄積する。これまで曖昧だった荷待ちや荷役といった待機時間を正確に可視化し、改善の糸口を探る。従来、手書きで作成していた日報業務を自動化することで、ドライバー1人当たり15分の業務時間削減にも貢献する。これら現場のデジタル化で得たデータを、AIが需要や供給を計画する計画系ソリューションと連携させることで、サプライチェーン全体の精度向上を目指す。
企業が変革に踏み出すための後押しも用意する。質疑応答で同社は、「バリューエンジニアリングという専門チームが、現状のコストと変革によって得られる価値を数値化して提示する」と明かした。これが社内での投資判断の納得材料となる。また、「『競合他社が導入している』という事実も、日本企業にとっては強い動機付けになる」と分析する。ソリューションはフルパッケージだけでなく、入荷やピッキングといったプロセス単位での部分的な導入も可能で、顧客の課題に応じて柔軟な提案を行う。ハードウェアの導入ありきではなく、まず業務プロセスの最適化を優先し、世の中にある最適な機器と連携できる状態を整えることを自社の役割と位置付けている。
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