調査・データ欧州委員会統計局(ユーロスタット)は10日、EU(欧州連合)の道路貨物輸送の最新動向を公表した。2024年の総輸送量(トンキロ)は前年比0.6%増の8687億トンキロと持ち直し、20-24年の年平均成長率は0.9%だった。22・23年は連続して減少しており、24年は2年ぶりの反転となる。
内訳を見ると、国内輸送は前年比0.8%増の1467億トンキロ、20-24年の年平均成長率は0.8%。国際輸送は同0.4%増の7218億トンキロ、年平均成長率が1.1%と、国内をやや上回る成長を示した。国別では、20-24年の年平均成長率がプラスとなったのは26か国中15か国。伸び率上位はキプロス(12.0%)、チェコ(5.8%)、ルーマニア(5.2%)など。一方、ブルガリア(マイナス4.6%)、ドイツ(マイナス2.0%)、オランダ・フィンランド(ともにマイナス1.8%)などはマイナスだった。
自国の総輸送に占める国際輸送比率は、24年はリトアニアが93.0%で最も高く、ルクセンブルク92.7%、スロベニア87.7%が続く。低いのはスウェーデン4.6%、フィンランド6.4%、キプロス7.1%。EU全体の国際輸送市場シェアでは、ポーランドが32.7%と最大で、2番手のスペインは12.3%。ポーランドは自国総輸送に占める国際比率も64.2%と高水準を維持している。
国際輸送の形態別では、EU全体でクロストレード(第3国間)は29.2%、カボタージュ(他国域内限定)は7.2%。クロストレードの比率が40%超の国は6か国で、リトアニアは70.9%と突出した。カボタージュ比率はルクセンブルクが23.5%で最も高く、アイルランド19.3%、フィンランド16.6%が続く。
効率指標では、24年の平均積載量は総合14.3トン(国内13.5トン、国際15.9トン)。国際の平均積載量が最も高いのはフィンランドで22.0トン、次いでキプロス19.5トン、フランス18.8トン、ギリシャ18.1トン。国内の平均積載量でもフィンランドが18.2トンで首位、ブルガリア16.3トン、ラトビア16.2トンが続いた。一方、スロベニアの国内は5.8トンとEU平均を大きく下回る。
1トン当たりの平均移動距離は総合143.5キロ(国内97.3キロ、国際604.3キロ、クロストレード722.0キロ、カボタージュ280.0キロ)。リトアニアは総合480.4キロと突出し、国際では922.4キロに達する。対照的にキプロスは総合26.1キロと短距離志向が顕著だ。距離帯別では、EU全体の41.3%が「300-999キロ」で実施される一方、キプロス、アイルランド、オランダ、オーストリアなどは150キロ未満の構成比が高い。長距離比率ではポルトガルとリトアニアで1000キロ超が4割強(それぞれ45.5%、44.7%)を占める。
運行効率に直結する空荷輸送(空車の車両キロ)比率は、総合21.6%。国内は25.8%と高く、国際は12.6%にとどまる。国別ではキプロス43.7%、アイルランド34.7%、ギリシャ34.4%、オーストリア34.0%が高水準。低いのはデンマーク7.5%、リトアニア11.0%、ベルギー11.6%。
なお、トンベースでは、EU合計は20-24年で横ばい(0.0%)ながら、24年は前年比0.7%減の13兆203億トン。増加はエストニア(18.7%)、リトアニア(14.5%)、イタリア(6.6%)など、減少はブルガリア(マイナス10.4%)、ポルトガル(マイナス9.9%)、ハンガリー(マイナス8.1%)などでばらついた。
総じて24年のEU道路貨物は、マクロ環境の減速とコスト圧力の中でも、国際を軸に緩やかな回復を示した。ポーランドの圧倒的な国際シェア、リトアニアの長距離・クロストレード偏重が際立った。
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