調査・データ自動車部品メーカーのミクニと、ITコンサルティングのフューチャーアーティザン(東京都品川区)は25日、製品の製造過程のCO2排出量を「見える化」する新たな取り組みとして、「CO2ラベリング」の検証を共同で開始したと発表した。部品製造段階におけるCO2排出量を正確に算出、表示することで、製造業のサプライチェーン全体の環境負荷の見える化につなげ、脱炭素社会の実現に貢献するとしている。
ミクニでは、製品の設計から開発、製造、販売、使用、廃棄に至るまでの過程を「ものづくり」と考え、環境負荷を低減し、環境保護に貢献する活動に取り組んでいる。自動車産業は、部品一つ一つの製造過程で多くのエネルギーを消費し、全体として大量のCO2排出源の一つとなっている。特に、自動車部品の鋳造や機械加工、熱処理、組立といった工程は、車両全体のカーボンフットプリントに大きく影響する。
また、国際的にも欧州を中心に、サプライチェーン全体でのCO2排出量の見える化が法律上、不可欠な要件となりつつある。こうした流れは、日本でも強まることが予想され、企業は対応を迫られている。
今回、両社が取り組むCO2ラベリングでは、工場のラインや設備ごとにIoTデバイスを設置して、リアルタイムに電力の値を収集し、データをフューチャーアーティザンのプラットフォームなどで一元管理し、データの見える化や改善につなげていく。
1秒ごとに取得した電流値から電力を算出し、日程やシリアル単位の製造データとひもづけることで、製品ごとの電力使用量をシリアル単位で把握している。現在、処理電力や待機電力の見える化のほか、ボトルネックの解消や待機電力削減などに向けた実証実験を行っている。
こうした取り組みで、ミクニでは工程ごとの無駄や非効率を可視化し、ボトルネックの是正を行うことで、生産全体のCO2排出量を効果的に削減した。
また、製品単位でのCO2排出量を明示することで、環境配慮型製品としての訴求が可能となり、環境意識の高い市場でのシェア拡大やブランド価値の強化につながっている。
両社では今後、他業界との連携を図るほか、スマートフォンで詳細な環境情報が確認できるQRコードの導入なども進めていく。
ミクニでは「企業だけでなく、消費者も一緒になって脱炭素に取り組める仕組みをつくりたいとの思いからプロジェクトが始まった。今回の取り組みを通じて、環境対応と業務効率化の両立に大きな一歩を踏み出せると考えている」としている。
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