ロジスティクス全日本トラック協会は26日、同協会女性部会の全国研修会を都内ホテルで開催した。全国から122人が出席し、トラック運送業の最新動向や女性活躍促進について研修を実施した。

▲会には全国から122名が参加
会の冒頭部登壇し、女性会員で埋め尽くした会場を見渡した原玲子部会長は「壮観です!」と歓喜の声を張り上げ、会場を盛り上げた。続いて、女性部会が2017年12月14日に20の都道府県女性組織で設立され、ことし4月には栃木県トラック協会女性部会が発足し、現在33協会にまで拡大したと報告した。また、6月に成立したトラック適正化2法に言及し、今後3年以内にドライバーの処遇改善や悪質事業者の排除など、業界の健全化が進むことへの期待を示した。
物流の24年問題への対応に関して、ことし4月の物流法改正により運送契約の書面交付義務化や荷主への規制的措置が導入されたことで、物流産業の職場環境整備が加速すると期待を示した。原氏は「トラック運送業界の環境改善が期待されるなか、深刻化する人材不足に対応するためには多様な人材の活躍が欠かせない。特に女性ドライバーの活躍は重要であり、今後さらに注目されるだろう」と強調した。

▲「壮観」と喜びの声を挙げる原玲子部会長
さらに、原氏は今年が女性部会設立から8年目となることを踏まえ、具体的なアクションを起こす年と明言。まず、業界における女性ドライバーの雇用状況を正確に把握するため、トラック運送業界の女性雇用促進に関する実態調査を実施する。この調査結果に基づき、行政や自治体に対して制度的支援や女性基金の創設を要望する活動を予定し、アンケートは10月中旬に開始する旨を伝えた。
次に登壇した楠木寿嗣副会長は挨拶で、運賃は上昇しているものの車両価格の高騰が深刻だと説明した。従来2000万円程度だった冷凍車が現在は3000万円近くまで上昇しているという。トラック業界向け補助金に余剰がある状況が続いているが、中古車を購入しても10年以内に新車への買い替えが必要なため「運賃が10%、20%上昇しただけでは対応が困難」と述べた。楠木氏は「他力本願ではなく、自分たちが積極的に参画していく必要がある。女性の方々にはこの業界を変えていただくよう切にお願いしたい」と女性の参画の重要性を訴えた。

▲女性が業界に参画する重要性を訴える楠木寿嗣副会長
研修会第1部では、国土交通省物流・自動車局貨物流通事業課の三輪田優子課長が「トラック運送業に関する最近の動向」について講演した。第2部では、関東運輸局交通政策部の矢吹尚子部長が「国土交通分野におけるジェンダー主流化について」をテーマに講演。矢吹氏はジェンダー主流化の概念と産業界における女性活躍の重要性を分かりやすく解説した。
矢吹氏はジェンダー主流化について、政策やサービスが男女に与える影響の違いを分析し、両性のニーズを平等に満たすように見直す取り組みと定義。国土交通分野では4つのポイントとして、男女別データの収集と分析、女性の視点を取り入れたサービス・インフラの設計、女性従事者の増加、意思決定層への女性参画を挙げた。
矢吹氏はトラック業界の女性ドライバー比率がわずか4.7%と低いことを指摘し、女性が働きやすい環境を整備することが業界全体の労働環境改善に直結すると強調した。さらに「多様性のある組織ほど変化に柔軟に対応でき、組織と業界の成長を促進する。女性部会の皆様こそが業界改革の先導役として大きな役割を担っている」と述べ、女性参画がもたらす業界変革への期待を明確に表明した。
研修会終了後は交流会を開催し、ブロックの枠を超えた参加者間の交流を深める機会を設けた。国交省は今秋、ジェンダー主流化ネットワークを立ち上げる予定であり、交通分野の女性リーダー間の連携強化を目指している。また、同協会が実施するアンケート調査の結果を今後の政策に反映することも検討しているとした。
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