イベント7日、LOGISTICS TODAY主催の「LOGI NEXT 25 Day1」で、「『総論賛成・各論反対』どう破るか?~荷主・JPR・野村不動産が示す、一貫パレチゼーション実現の処方箋~」と題したセッションが開催された。
物流効率化の切り札として期待される一貫パレチゼーション。しかし「総論賛成・各論反対」の壁が立ちはだかる。日本パレットレンタル(JPR)執行役員営業部長の宇田裕司氏、野村不動産都市開発第二事業本部物流事業部長の稲葉英毅氏、F-LINE物流未来研究所次長の坂本卓哉氏が登壇し、実現への道筋を語った。

▲(左から)モデレーターの鶴岡氏、宇田氏、稲葉氏、坂本氏
JPRの宇田氏は「レンタルパレットの供給枚数は年間5300万枚に達し、取引先企業は3000社、パレットの実在拠点は8万1000か所に上る」と現状を説明した。30年にわたり同社が提供するピンク色のプラスチックパレットは、物流業界で広く認知される存在だ。
食品業界では1990年代からパレット共同利用の取り組みが始まった。坂本氏は「P10(パレット共同利用推進研究会)はゼロから始まり、食品メーカーが連携して普及に取り組んできた」と振り返る。F-LINEプロジェクトでは、味の素、カゴメ、日清食品など6社のメーカーが「競争は商品で、物流は共同で」という理念のもと連携している。坂本氏は課題として「営業部門にパレットの重要性を理解してもらうことに力を使った。営業は商品を売ることに集中しがちで、物流は誰かがやってくれるという感覚になりがちだ」と指摘した。
野村不動産の稲葉氏は、横浜市鶴見区で2025年3月に完成した物流施設「Landport横浜鶴見」を紹介した。総延床面積4万坪の施設内に自動倉庫を設置し、「1パレット単位、10日単位で利用できるモデルを提供している」と説明した。従来は面積単位で借りる必要があった倉庫を、パレット単位で利用可能にしたのだ。稲葉氏は「季節変動に対応でき、必要な分だけ借りられる」と利点を強調した。
最大の課題は、旗振り役とコスト負担の問題だ。坂本氏は「サプライチェーン全体を見渡せるのはJPR。我々は部分ごとにリレーをしているが、そのバトンがパレット」と指摘した。宇田氏は「理想はメーカー、物流事業者、卸売業者、小売業者がそれぞれ均等にコストを負担すること。ただ、なかなか実現できない。お互いの歩み寄りが大事だ」と述べた。具体例として「レンタルパレットの費用は発荷主が負担するケースが多い。その代わりに発注条件をまとめたり、リードタイムを延ばしたりして、直接的なコスト以外で条件を調整する」と説明した。
稲葉氏は「全国の賃貸倉庫の総量は1億2000万坪。そのうち物流不動産デベロッパーが提供する施設は15%まで増えている。中立的な立場と投資力を生かし、利便性の高い仕組みを実現したい」と意欲を示した。坂本氏は「明日からできることは、企業間で物流の情報を交換する際に『パレットはどうですか』と何度も声をかけること。これこそが一貫パレチゼーションの始まりだ」と呼びかけ、セッションを締めくくった。
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