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成立したトラック新法、物流再編の実行フェーズへ

2025年11月7日 (金)

▲LOGISTICS TODAYの赤澤裕介・社長兼編集長

イベント7日開催のLOGISTICS TODAY主催イベント「LOGI NEXT 25 Day1」のクロージングセッションでは、国土交通省総合政策局長の鶴田浩久氏、SBSホールディングス社長の鎌田正彦氏、フジホールディングス社長の松岡弘晃氏が登壇し、「成立したトラック新法と2025年以降の物流の未来」をテーマに議論を展開した。モデレーターはトラボックス会長の吉岡泰一郎氏、LOGISTICS TODAYの赤澤裕介・社長兼編集長が務めた。

▲SBSホールディングス社長の鎌田正彦氏

ことし6月に国会で可決・成立した「トラック適正化2法」について、鶴田氏は「運び手がいなくなり、国内物流が止まってしまう事態は避けなければならない。新法の最大の目的は、トラックドライバーの処遇改善にある」と説明した。

▲国土交通省総合政策局長の鶴田浩久氏

これに対し、鎌田氏は「同じ運転職でもトラックドライバーはタクシードライバーに比べて給与水準が低い。政府や国土交通省の尽力で新法が成立したものの、実際の運用に至るまでには越えなければならないハードルが多い。例えば運賃の急激な引き上げによって事業の継続が難しくなる業種も想定される。また価格転嫁が進み、消費者の買い控えが起きれば、国内景気の冷え込みを招く懸念もある」と指摘した。

トラック新法の柱の一つである「事業許可の5年更新制」について、鶴田氏は「ドライバーの処遇を上げるには、まず運送会社の経営を安定化させる必要がある。更新制は、悪質な事業者と同じ土俵で競わせないための仕組みだ」と説明。

松岡氏は事業者の立場から「運行管理者を適正に配置せず、点呼を怠り、ドライバーに過重労働を強いるような悪質事業者が市場から退場することは、業界全体の健全化につながる。更新制の導入はその意味で評価できる」と述べた。鎌田氏も「安全や品質を重視した事業者が生き残る仕組みにすることが不可欠。更新制は事業継続の基準引き上げにつながる」と賛同した。

▲フジホールディングス社長の松岡弘晃氏

また、多重下請け構造の是正を目的とした「下請け制限(2次まで)」について、吉岡氏は「新ルールに合わせて求荷求車マッチングの取引ルールを見直していく必要がある」と説明。鎌田氏も「3次、4次と階層が深くならないよう、取引相手を明確に特定できるマッチングの仕組みを再整備すべきだ」と提言した。

▲トラボックス会長の吉岡泰一郎氏

このほか、パネルでは適正原価制度や白ナンバー排除、労働者の処遇改善など、新法関連の論点についても活発な意見が交わされた。最後に赤澤編集長が「新法はゴールではなくスタート。実行が伴うかどうかで、2025年以降の物流の未来が決まる」とまとめ、議論を締めくくった。

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