ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

物流再構築の号砲、産官学が示す「25年の分岐点」

2025年11月7日 (金)

ロジスティクス物流業界の実務家たちが顔を揃えた本誌主催「LOGI NEXT 25Day1」が7日、紀尾井カンファレンス (東京都千代田区)で開かれた。産官学の論客が輸配送、倉庫、行政、テクノロジーなどに関連するテーマで6時間、活発な議論を繰り広げた。業界の行く末を問う本質的な議論に、会場に詰めかけた参加者は聞き入った。辛辣な指摘と機知に富んだ議論が交錯し、業界の課題と解決策、そして将来展望が次々と明らかになった。

▲開幕の基調セッションの様子

フィジカルインターネットセンター(JPIC)理事長で流通科学大学名誉教授の森隆行氏が登壇した基調セッション「物流2024年問題から始まる“再構築の時代”」で幕を開けた。森氏は2024年問題という試練の先に広がる物流の未来を語り、業界の羅針盤となるべき方向性を示した。

正午からはテクノロジーと現場実務を結ぶセッションが続いた。Nauto Japan社長の赤井祐記氏、丸全昭和運輸物流品質管理部理事の飯岡剛氏、SBSロジコム常務執行役員管理本部長の中藤和生氏が「すべての業務車両に、AI革命を──事故ゼロ経営、今がその分岐点」をテーマに登壇。AI活用による安全管理の最前線と、事故ゼロを目指す現場の知恵を披露した。続いてZenport社長の太田文行氏が「グローバルで広げるサプライチェーンの勝ち技~CLOへのご提言~」をテーマに国際物流戦略のあるべき姿を提示した。

午後はX Mile執行役員DX事業管掌の安藤雄真氏が「2030年輸送力危機の本質は『人』にある──物流業界の人材確保と定着の課題」で人材不足問題に切り込んだ。次に、アセンドのCOOを務める森居康晃氏、テレニシ法人事業本部ソリューション営業二部部長の吉田寛之氏、NBSロジソル社長の河野逸郎氏が「『日本郵便問題』は他人事か?点呼・配車・請求をつなぐ現場起点のDX戦略」で実務レベルのデジタル化を議論。続いて、野村不動産都市開発第二事業本部物流事業部長の稲葉英毅氏、日本パレットレンタル執行役員営業部長の宇田裕司氏、F-LINE物流未来研究所次長の坂本卓哉氏が「『総論賛成・各論反対』どう破るか?~荷主・JPR・野村不動産が示す、一貫パレチゼーション実現の処方箋~」で、標準化議論に実践の知恵を示した。

基調セッションではトリドールホールディングスグローバルSCM本部本部長代行の梶野透氏、スギ薬局ロジスティクス統括部長の北川信之氏、日清食品常務取締役事業統括本部長兼Well-being推進部長の深井雅裕氏が「“個社最適”の先に物流崩壊、荷主が挑むサプライチェーン構造改革論」をテーマに登壇。荷主側から物流を「経営の基盤」と捉える視点を共有した。続いて、Hacobu取締役執行役員COOプロダクト企画本部長の坂田優氏と北川氏が「物流×AIの最前線──200社の実態調査から見えた、改革のヒント」で、調査データに基づく実践知を共有。次に、Tebikiエンタープライズ営業部チームリーダー(物流業界担当)の渡邊隆夫氏が「物流現場の生産性を最大化する現場教育」で、人材育成の新手法を紹介した。

イベント最大の盛り上がりを見せたのが、クロージングセッション「成立したトラック新法と2025年以降の物流の未来」だ。国土交通省総合政策局長の鶴田浩久氏、SBSホールディングス社長の鎌田正彦氏、フジホールディングス社長の松岡弘晃氏が登壇し、トラボックス会長の吉岡泰一郎氏とLOGISTICS TODAYの赤澤裕介社長兼編集長がモデレーターを務めた。

行政のトップと業界をけん引する経営者が一堂に会したこのセッションではトラック新法の実効性と今後の課題について、率直かつ熱い議論が交わされた。「法律は成立したが、これからが本当の勝負だ」「2025年以降、業界はどう変わるべきか」──。鶴田氏が政策の意図と期待を語り、鎌田氏がトラックドライバーの低賃金の問題といった現場の実態など、経営者としての懸念や本音をぶつけた。

全セッション終了後の交流懇親会が開かれた。参加者同士の名刺交換、歓談の場となり、会は賑やかな中で幕を下ろした。

▲交流懇親会での乾杯の様子

LOGISTICS TODAYでは、メール会員向けに、朝刊(平日7時)・夕刊(16時)のニュースメールを配信しています。業界の最新動向に加え、物流に関わる方に役立つイベントや注目のサービス情報もお届けします。

ご登録は無料です。確かな情報を、日々の業務にぜひお役立てください。