ロジスティクス7日に開かれたLOGISTICS TODAY主催の「LOGI NEXT 25 Day1」では、フィジカルインターネットセンター(JPIC)理事長で流通科学大学名誉教授の森隆行氏が登壇。冒頭の基調セッションで、日本と世界のフィジカルインターネット(PI)についての取り組み状況、そして来年4月に施行される「CLO義務化」との関係について語った。

▲フィジカルインターネットセンター(JPIC)理事長で流通科学大学名誉教授の森隆行氏
森氏は、PIを「情報がネット上を自由に行き交うように、物も標準化と電子化を通じて自由に行き交う仕組み」と説明。誰もが物流施設を共同利用できる“完全なオープン物流”を目指すもので、政府が掲げる「持続可能で環境に優しい物流」と方向を同じくする。近年は倉庫ロボティクスや自動化の流れとも結びつき、実装段階への移行が始まっている。
また、森氏はCLO(物流統括管理者)の誕生がPI推進の大きな転機になると強調する。
「CLOが生まれることで、これまで分断されていた調達や配送などの機能を横断的に統括できる。物流改革にとどまらず、企業経営全体の効率化につながる」と述べた。CLO同士や企業と物流事業者の連携も円滑化し、共同物流が水平・垂直に広がる可能性があるという。
日本政府はPIの完成目標を2040年に定め、JPICでは企業の取り組み度を測る「フィジカルインターネット成熟度モデル」の開発を進めている。森氏は「社会全体(マクロ)から企業単位(ミクロ)への転換点にある」と位置づけた。
PIは2011年に米ジョージア工科大学で提唱され、欧州では「ALICE」(欧州連携物流イノベーション連合)が中心となって展開。日本は19年ごろから本格的に参加し、現在は欧米と並ぶ主要国の一つだ。森氏は「成熟度モデルでは日本が先行しており、韓国や台湾、フィリピン、中国、タイなどアジア各国にも広がっている25年は国際展開の第2段階が始まる年になる」と話した。
今後の課題として森氏は「DXとGX」を挙げ、「データを共通化しなければ共同物流は進まない。顧客が何を求めているかを把握し、サービスにつなげるためにもデジタル化は不可欠」と強調した。
森氏は最後に、「25年はフィジカルインターネットの国際展開と国内実装が同時に動き出す節目になる」と結び、「マクロからミクロへ」という変革の流れが日本の物流を新たな段階へ導くと語った。

▲森氏はオンラインで登壇した
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