イベント10月8日に開催される「物流DX未来会議2025」(大手町プレイスホール&カンファレンス)で、日本貨物運送協同組合連合会(日貨協連)副会長のカワキタエクスプレス(三重県亀山市)川北辰実社長が登壇する。川北氏は、Room1で行われるセッション「迫る2030年問題、輸送力危機のカウントダウン」(14時45分−15時30分)に参加し、業界が直面する輸送力不足と事業承継問題について議論を深める。
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セッションでは、24年4月からの時間外労働規制強化、いわゆる「2024年問題」が日本のサプライチェーンに与える影響を軸に、業界構造の変革を探る。現在、実運送体制管理簿の提出率が2割にとどまっており、多重下請け構造の「見える化」が進まず、現場の運送事業者の売上改善には結びついていない。川北社長は「結局はドライバーの処遇改善につながらない」と問題視する。

▲日貨協連副会長のカワキタエクスプレス(岐阜県岐阜市)川北辰実社長
運賃交渉にあたっては「適正原価を根拠に値上げしても、物価上昇を社会が受け入れるのか」という疑問も示す。実際に同社が手がける菓子輸送の運賃値上げ交渉では「運賃を上げれば店頭価格が上がり、価格競争力が下がる。売れ行きが落ちれば翌年は値上げできない」と告げられたという。荷主は安い業者を探し、物流コストを抑えながら別の理由で値上げを正当化する傾向も根強い。
川北社長は、運賃値上げの必要性を認めつつも、現場での影響の複雑さを語る。実際、カワキタエクスプレスで育成したドライバーの一部は、運賃を上げられる会社へ移っていった。しかしそうした会社でも労働環境の整備が十分でないため、結局は長続きせず、別の事業者を渡り歩き、最終的に業界を離れてしまうケースが少なくないという。
直近1年間で15人が退職したのは大きな痛手だが、川北社長は「補充が追いつかないのは厳しいが、その一方で人材を厳選する契機にもなり、残ったメンバー全体の質は確実に上がっている」とも話す。
「いずれは仕事を辞めていく高齢者ドライバーに依存する会社は遅かれ早かれ淘汰される。そのとき運べない荷物が出て、社会全体が物流の重要性に気づくのだろう。それによって運賃も上がり、ドライバーの収入も上がる。しかしそこに至るまで時間がかかり、それまではなんとしてでも生き延びなければならない」と川北社長は危機感を語る。
大量のドライバー退社などの苦境に立たされながらも、なぜ運送業を営み続けるのか。セッションで語られる、川北社長の運送業への思いも必聴だ。
▽「物流DX未来会議2025」(クリックで詳細ページへ)▽
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