ロジスティクスイー・ロジット会長兼ファウンダーの角井亮一氏が創設したプログレスクラブは23日、東京・秋葉原の富士ソフトアキバプラザで「第25回戦略物流セミナー~革新が加速する物流の未来へ~」を開催した。今回は「革新」「協創」「グローバル展開」をテーマに、物流業界の最前線を担う経営者・実務家・研究者らが一堂に会し、変革の潮流を見据えた議論が繰り広げられた。
プログラム冒頭では、主宰の角井氏が開会挨拶に立ち、「知識が増えるほど知恵も広がる。特に、同じ課題に取り組む仲間からこそ学びが多い」と語り、参加者同士の気づきと共有を重視する姿勢を示した。さらに「今後は招待制のセミナーとして“選ばれる学びの場”を目指していく」と述べ、学びの継続と深化を呼びかけた。会場内3つのセミナールームで同時にセッションが進行し、参加者は関心に応じて自由に行き来できる形式を採用。「短い時間で濃いアイデアと学びを得られる場にしたい」との言葉通り、会場は開会直後から活気に包まれた。

▲イー・ロジット会長兼ファウンダーの角井亮一氏
最初のメインセッションでは、Mujin(ムジン、東京都江東区)CEO兼共同創業者の滝野一征氏が登壇し、「欧米へ拡大する日本発テックスタートアップに聞く」をテーマに講演。滝野氏は、ロボティクス技術を軸に世界市場へ挑む経験を踏まえ、「自動化の本質は、人の知恵をどうテクノロジーに置き換えるかにある」と強調。現場オペレーションの最適化を通じて、日本発の技術がグローバルに通用する可能性を示した。

▲Mujin・CEO兼共同創業者の滝野一征氏
続いて、ホットスピーカーとして登壇したフジトランスポート(奈良市)社長の松岡弘晃氏は、「物流業を面白くする経営戦略」と題して講演。「現場で働く一人一人が誇りを持てる環境を整えることが何より大切」と語り、「ドライバーは社会を支えるプロフェッショナルであり、経営とは働く人を幸せにする仕組みをつくることだ」と力強く訴えた。トップ自らの言葉で語られる“現場発の経営論”に、会場は深く頷いた。

▲フジトランスポート社長の松岡弘晃氏
さらにディスカッションパネルでは、三菱倉庫経営企画部部長の奥谷裕子氏とBest of Zoo(横浜市金沢区)社長の北山剛氏が登壇し、グローバル展開の現実と課題を語った。奥谷氏は「現地を理解し、信頼できるパートナーと連携することが不可欠」と述べ、米キャバリエロジスティクスの買収を通じて構築した医薬品物流ネットワークの経験を紹介。「グローバルな品質と現地最適の両立」を重視する姿勢を示した。北山氏もインドでの経験を踏まえ、「文化や価値観を理解し、誠実な対話を重ねることが信頼の基盤」と語り、デジタル化が進む今だからこそ“人と人”の関係構築が重要であると指摘した。

▲(左から)Best of Zoo社長の北山剛氏、三菱倉庫経営企画部部長の奥谷裕子氏、ローランド・ベルガーの小野塚征志氏
セッションの合間には、聴講者から寄せられた質問に登壇者が直接答える質疑応答の時間も設けられた。QRコードを通じてリアルタイムで質問を受け付け、壇上では実務と戦略を交えた率直なやり取りが繰り広げられた。モデレーターを務めたローランド・ベルガー(東京都港区)の小野塚征志氏は、「経営と現場の視点をつなぐ対話こそが、次の一手を生む」と述べ、議論をまとめた。
会場には、荷主・物流・テクノロジーの各分野から多くの参加者が集まり、12時30分の開会以降、各セミナールームで多彩な議論が続いている。「物流の革新は現場から生まれる」という角井氏の言葉通り、現場と経営、国内と海外を横断する知見が交わる一日となった。
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