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センコーに下請法違反報道、荷役を無償強要か

2025年12月9日 (火)

ロジスティクス総合物流大手のセンコー(大阪市北区)が、公正取引委員会から下請法違反に関する勧告を受ける可能性があると一部報道が伝えている。同社は9日、報道について「当社が公表したものではない」とするリリースを発表し、公取委の調査を受けている事実は認めたものの、報道されている勧告方針については「調査中であり、現時点で開示すべき事項はない」と説明した。

センコーは2022年以降、再委託した運送事業者に商品の積み下ろしや2時間以上に及ぶ荷待ちを無償で行わせ、その対価を支払っていなかった疑いがあるという。公取委の調査では、延べ数十社の運送事業者に無償荷役・荷待ちが日常的に課されていた可能性が指摘されており、下請法が禁じる「不当な経済上の利益提供要請」に該当するおそれがあるとみて、再発防止などを求める勧告を行う方針とされている。

物流業界では、24年問題に伴うドライバーの残業規制強化で輸送力不足が顕著となり、無償荷役や長時間待機といった慣行が改善の焦点に浮上している。今回の事案は現行の下請代金支払遅延等防止法(下請法)に基づく対応だが、2026年1月に施行される「中小受託取引適正化法」(取適法)の枠組みを先取りするケースとも言える。

取適法は、下請法と下請中小企業振興法を統合・改組した新法。発荷主から元請運送事業者への「運送委託」を新たに規制対象とするほか、元請け企業には運送委託の内容や運賃に加え、荷役や荷待ちなど附帯作業の有無と対価を明記した発注書面の交付が義務付けられる。運送事業者に対し、契約にない荷積み・荷下ろし、仕分け、長時間荷待ちなどを実質無償で行わせる行為は、取適法上も「不当な経済上の利益の提供要請」として明確に禁止される見通しだ。これまでグレーとされてきた無償荷役・無償待機は、発注段階の書面と照合されるかたちでチェックされることになり、違反が認定されれば是正指導や勧告、公表といった措置の対象となる。

今回報道されたセンコーのケースがどのような結論を迎えるかは現時点で不透明だが、荷主企業・元請け運送会社にとっては、26年以降は同種の行為がより直接的に法の射程に入る、というメッセージでもある。発注書・運送委託契約のなかで、荷役・荷待ちなどの附帯業務の範囲と対価をどう設計し直すか。サプライチェーン全体で「無償が前提」の慣行を改めることが、今後の法運用を見据えた喫緊の課題となる。

「適正化は発注書から」 、公取委が荷待ち規制に本腰

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