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特定技能ドライバー本格化、肝は採用ルートと教育

2025年11月17日 (月)

ロジスティクスイズミ物流(東京都千代田区)は、外国人ドライバーの本格採用に乗り出している。恒常的な人手不足と2024年問題への抜本的な対策として、2024年8月から組織横断プロジェクトを始動。独自の採用チャネルと現場重視の教育体制を構築し、30年までにドライバーの3分の1を外国人材にする目標を掲げる。

▲談笑する外国人ドライバー(出所:イズミ物流)

同社は1986年の設立以来、慢性的なドライバー不足に悩まされてきた。2024年問題などもあり、ドライバー職の担い手不足が深刻さを増すなか、奥山健太郎執行役員(経理財務/総務広報部部長)は「日本国内のリソースだけでは限界がある」と窮状を明かす。そこで特定技能による運送業の解禁を機に、昨年8月から採用活動を開始した。

奥山氏は「大手の社会貢献的な位置づけとは異なり、事業存続と拡大のための実利的な一手だ。本気で人がほしい」と強調する。採用は人事部主導ではなく、奥山氏、田中健一執行役員(事業本部 第1事業部 部長)、毛塚千江美氏(経営管理本部 総務/広報Team)らによる組織横断プロジェクトとして発足した。現場経験のあるメンバーが主導し、情報の共有遅れを防ぐ。

採用ルートは4つを確立した 。第1に「国内の日本語学校」。学校の就職説明会への参加や個別説明会を通じ教職員・生徒に対し「特定技能ドライバー」の認知度向上と関係構築を図る。第2は「人材紹介会社」。さまざまなコネクションを構築。情報交換を通して、共に目標を達成するパートナーとして計画を進める。

第3は「海外の送り出し機関」。社内の中国人ネイティブスタッフを介し、主に中国の機関と関係を構築中だ。この言語サポートの強みから、現在採用者の半数以上は中国籍となっている。第4が「オウンドメディア(ウェブサイトとSNS)」。SNSは、21年から運用し、累計フォロワーは9万人に達し、SNS経由の直接応募も獲得している。

採用後の教育体制も整備した。日本人採用の既存制度を活用し、本社での2日間の入社時研修(座学)に外国人も一緒に参加する。安全教育やマナー、就業規則などを学ぶこの研修では、テキストを日本語・英語・中国語の3か国語で用意、国籍に応じて対応している。

▲外国人ドライバー出発前の様子(出所:イズミ物流)

現場配属後は、指導担当の先輩ドライバーを一人に固定し「マンツーマン指導」を徹底する。これは「指導者による指示のバラツキを防ぐ」ためだ。奥山氏は「教える側は極力方言を話さない」「彼らは白か黒か。忖度文化を出さない」など、現場での具体的な注意点を明かした。業務は食品配送がメインで、夜勤が基本だ。店舗スタッフや利用者への挨拶・お礼のために日本語も指導する。

現在11人が勤続中、うち5人が独り立ちしている。25年内には30人規模になる見込みだ。30年までにドライバーの3分の1(100人超)を外国人材にする目標を掲げる。

将来的には、採用した外国人を集約する「研修センター」の設立も構想する。宿舎と教習施設を併設し、集中的に教育してから各営業所に配属する計画だ。奥山執行役員は「6万社のトラック運送業界で、売上規模ではなく『外国人採用』の分野でナンバーワンを目指す。『生き残った』ではなく『勝ち残った』会社になりたい」と意気込む。(菊地靖)

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