ロジスティクス日本貨物鉄道(JR貨物)は10日、今年度までに達成すべき目標として定めたKGI(重要目標達成指標)、KPI(重要業績評価指標)について、今年度上半期の達成状況と下半期の取り組み内容を発表した。JR貨物の経営自立化とカーボンニュートラル実現への貢献に向け、収支改善と輸送量拡大を目指すための目標だが、輸送量の実績は大きく下回っており、目標達成は厳しい状況となっている。
同社は、国土交通省が設けた有識者検討会「今後の鉄道物流のあり方に関する検討会」が2022年発表した中間とりまとめの内容に沿って、KGIとKPIを設定し、鉄道輸送量の増大と経営の自立化を目指している。検討会では、カーボンニュートラルの実現やトラックドライバーの不足などの社会課題の解決に向け、鉄道輸送に対する期待は大きいとして、JR貨物に対し、輸送量拡大と鉄道部門の収支改善を求めた。
KGIでは、最終年度となる今年度のコンテナ輸送量の必達目標を196億トンキロ、チャレンジ目標を209億トンキロに設定しているが、上半期の実績は79.1億トンキロにとどまり、必達目標の4割にとどまった。
KPIでは、積載率の今年度必達目標が全日平均76.5%だったのに対し、実績は72.2%と下回った。下半期は、顧客や3PL事業者への提案営業を実施し、流通業務総合効率化法で特定の荷主企業に設置されることになった「物流統括管理者」(CLO)への働きかけを推進するとしている。
また、従来は限定的な扱いとなっていた貨物の利用拡大を図るため、定温コンテナ輸送を対20年度比で11.2%増、31フィートコンテナ輸送を17.4%増、中距離帯輸送を23.8%増にするとの目標を掲げているが、今年度上半期の実績は定温コンテナ輸送が11.5%の増、31フィートコンテナ輸送も18.1%増といずれも目標を超えた。中距離帯輸送は11.9%増と及ばなかった。低温コンテナ輸送では、冷凍食品や医薬品分野で提案営業を進めるなどした。31フィートコンテナ輸送では国の「モーダルシフト加速化緊急対策事業」補助金で製作したコンテナを用いて輸送を拡大した。
トラックから鉄道コンテナに荷物を積み替える「積替ステーション」の整備では、上半期に16か所目となる名古屋ターミナル駅(名古屋市中川区)に設置した。今年度末までに22駅に設置する予定で、下半期に残る6駅への設置を検討している。また、積み替えステーションでの詰め替えサービスの導入も進める。
国際海上コンテナの海陸一貫輸送の本格的な事業化に向けた取り組みでは、京浜港と各貨物駅との連携性を高めるため、駅見学会などの開催で知名度の向上と普及を目指す。40フィートコンテナ輸送の態勢を整備するなど需要喚起に取り組んだ宇都宮ターミナル駅と横浜本牧ふ頭の間での輸送事業は、運賃競争力を確保できず低迷した。
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