ロジスティクス日本貨物鉄道(JR貨物)は12日、2025年度までに達成すべき目標として定めたKGI(重要目標達成指標)、KPI(重要業績評価指標)について、今年度上半期の達成状況と下半期の取り組み内容を発表した。JR貨物の経営自立化に向け、収支改善などを目指すための目標だが、実績は大きく下回っており、今年度の目標達成は厳しい状況となっている。
このKGIとKPIは国土交通省が設けた有識者検討会「今後の鉄道物流のあり方に関する検討会」が2022年発表した中間とりまとめの内容に沿って作成した。検討会ではJR貨物の経営自立化には鉄道部門の収支改善と、取扱量・輸送機関別分担率の拡大による社会貢献が欠かせないとしている。
KGIでは、25年度のコンテナ輸送量の必達目標を196億トンキロ、チャレンジ目標を209億トンキロに設定し、24年度は175億トンキロを目標に掲げたが、上半期の実績は76.9億トンキロにとどまった。上半期目標の83億トンキロを大きく下回っている。
KPIでは、積載率の今年度上半期目標が全日平均70.4%だったのに対し、実績は71.7%と上回った。しかし、これは輪軸組立作業における不正行為で、対象貨車が運用停止となり輸送力が減少したためで、取扱量が増えたわけではない。
下半期は、顧客への真摯な説明で貨物鉄道輸送への信頼の回復を図るとともに、2024年問題に対する顧客ニーズを把握しながら営業活動を展開していくとしている。
従来は限定的な扱いとなっていた貨物の利用拡大を図るため、25年度に定温コンテナ輸送を対20年度比で11.2%増、31フィートコンテナ輸送を17.4%増、中距離帯輸送を23.8%増にするとの目標を掲げているが、上半期実績は定温コンテナ輸送が0.1%の減、31フィートコンテナ輸送が7.0%増、中距離帯輸送が9.2%増だった。中距離帯輸送については、春のダイヤ改正で輸送力を増やしたのが功を奏し、24年度目標の7.8%を上回った。
トラックから鉄道コンテナに荷物を積み替える「積替ステーション」の整備では、上半期に百済貨物ターミナル駅(大阪市東住吉区)と相模貨物駅(神奈川県大磯町)の2か所に整備。下半期には吹田貨物ターミナル駅(大阪府吹田市)や隅田川駅、盛岡貨物ターミナル駅(盛岡市)、西浜松駅(浜松市中区)の4か所に整備する。
また、国際海上コンテナの海陸一貫輸送に向けて、上半期は金沢貨物ターミナル駅(金沢市)の改良工事が完成し、宇都宮ターミナル貨物駅(栃木県上三川町)の改良工事に着手。大阪-金沢間での40フィートコンテナの実証実験を実施するため、協力者を募るほか、横浜本牧-宇都宮間での40フィートコンテナ輸送の態勢を整備する。
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