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上場企業の不動産売却は微減、譲渡益は2.5倍に

2025年11月28日 (金)

調査・データ東京商工リサーチ(TSR、東京都千代田区)は28日、東京証券取引所に株式上場する3783社のうち、今年度上半期(4-9月)に国内不動産の売却契約を締結したのは28社で前年度同期の32社から4社減少したとするレポートを公表した。地価上昇などを背景に、譲渡損益の総額は998億8000万円と前年度同期の389億8400万円の2.5倍と大幅に増加した。

今年度の主な不動産売却としては、シャープがKDDIと協議を続けてきた旧堺工場の土地・建物の一部の売却を決定し、2026年3月期に95億円の譲渡益を計上したケースが挙げられる。また、サクサは、資本効率の向上を図るため、5月に三菱地所と相模原市の土地5万3720平方メートルの売買契約を締結し、27年3月期に譲渡益230億円を計上する予定だと公表した。

不動産の売却を公表した上場企業28社のうち、譲渡損益を公表したのは25社(同30社)で、譲渡益計上は24社(27社)で、総額1000億3900万円(461億4500万円)と前年度同期から大幅に増加した。譲渡益100億円以上を計上したのは5社(1社)で、譲渡益の最大はサクサだった。

▲年度別の上場企業の不動産売却企業数の推移(クリックで拡大、出所:東京商工リサーチ)

譲渡損の公表は1社(同3社)で、ダイドーリミテッドの中核子会社、ダイドーフォワードが本郷TKビル(東京都文京区)の売却で1億5900万円の譲渡損を計上する。

1社あたりの平均譲渡益は39億9500万円(同17億900万円)で、小口取引が中心だった前年同期の2.3倍となった。

売却面積を公表したのは23社で、総面積は48万4862平方メートル(前年度同期25社、59万2748平方メートル)だった。合計1万平方メートル以上を売却した企業は、9社(同10社)で1社減少した。

売却した土地の面積が最も広かったのは、アクサスホールディングスの12万6039平方メートル。アクティビティ施設開発や酒類事業での活用を期待して保有してきた香川県土庄町など2物件の譲渡を決め、譲渡益8億200万円を計上する見込みとなっている。2位はダントーホールディングスの8万4702平方メートルで、宇都宮市の賃貸用不動産を売却した。3位はリケンテクノスの5万7000平方メートルだった。

譲渡価額を公表したのは14社(11社)で、総額629億100万円(250億6400万円)だった。

最高額は、月島ホールディングスの223億円で、総資産回転率の向上のため、千葉県市川市の物流施設(信託受益権)を三井不動産へ売却した。2位は、シャープの112億円で、財務改善を図り、ブランド事業を中心とした事業構造を確立するための譲渡としている。3位は、ニプロの100億円で、経営資源の有効活用による資産の効率化と財務体質の強化を図るとした。譲渡価額10億円以上は8社(同7社)だった。

地区別の譲渡物件数は、東京都の12件を含む関東が23件、近畿が8件と続き、不動産価格の高止まりが続く都市圏が中心だった。

同社は「コロナ禍以降、働き方改革による業務スペースの見直しなどで不動産売却は22年に114社とピークに達したが、その後は減少をたどっている。財務リストラの進展や建設コスト、金利などの上昇で投資判断のハードルが上がっており、企業の不動産売却はしばらく鈍化する可能性がある」としている。

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