拠点・施設野村不動産は5日、10月に完成した大規模物流施設「Landport東海大府Ⅰ」の竣工式を開催、報道関係者に施設内部を公開した。

▲Landport東海大府I
Landport東海大府Ⅰは、愛知県東海市と大府市にまたがる敷地面積9万8265平方メートルの巨大施設。東京と大阪の間の中継拠点としての機能、エリアの巨大消費圏である名古屋市内と西三河地区、さらに物流要衝である名古屋港の交点としての機能、さらに自動車産業などの生産地と都市消費圏をつなぐ機能においても“中心”となることを目指す。


(出所:野村不動産)
同施設は地上6階建て、延床面積24万6550平方メートルに及び、野村不動産のマルチテナント型物流施設として最大規模となる。伊勢湾岸自動車道・大府インターチェンジ(IC)、知多半島道路、名古屋高速3号大高線・大高ICからいずれも500メートルと至近で、施設からは間近にインターチェンジを臨むロケーションである。名古屋港(東海新宝ふ頭)から5.4キロという距離も含め、内覧では名古屋圏の輸配送結節点としての立地特性が明示された。
外観は、全容をつかめないほどの巨大さとダブルランプウェイが目をひく。ランプウェイからはセンター車路で各階のバースに接車する構造で機動力を確保している。
保管スペースは、マルチテナント型の標準スペックを整えたフロアだけではなく、多様な物流オペレーションに対応できる設計。1階西側区画には梁下有効高6.5メートルの低床仕様で、重量物などの物流用途などを想定したという。さらに、将来的な垂直搬送機やマテハン機器の追加にも柔軟に対応できるスペックとしていることなど、需要変化やオペレーション高度化を見据えた設計思想が示された。区画分割についても柔軟性に優れ、1テナント利用から複数社の共同利用まで幅広いニーズに対応できるとしている。

▲1階北側カフェテリア(出所:野村不動産)
働く人々や、開かれた施設としてのコンセプトも随所に見られる。エントランスなど共用スペースの彩光など、開放的な造りやデザイン性の高さも特長的だ。内覧会では、テーマの異なる3つのカフェテリアも公開された。それぞれアート・未来・自然をモチーフにした多様なデザインにより、従業員の休憩・交流や打ち合わせスペースとしてもタイプの違う上質な空間を用意した。いずれのカフェテリアも単なる食事スペースではなく、テナント企業の従業員同士が自然に会話を交わし、ちょっとした打ち合わせや一息つく時間を過ごせるよう意図された空間だ。1階南北に配置された2か所のカフェテリアではLandportシリーズで初導入したロフトスペースも印象的で、階層差を生かして「こもれる場所」と「ひらけた場所」を同じ空間の中に共存させている。
BCP(事業継続計画)へのこだわりも強調された。開発地は津波、高潮、洪水、土砂災害などのハザードマップ対象外エリアであり、液状化の可能性も低い場所にある。建物は地震にも強い免震構造を採用し、揺れによる庫内被害の抑制と作業者の安全を図る。停電時には非常用発電機により72時間程度の電源供給が可能で、災害時にも一定期間オペレーションを維持する体制を整えているという。必要機能を止めない物流施設として、BCP需要への対応を重視した計画であることが強調された。

▲併設された危険物倉庫
内覧ルートの途中では、敷地内北西側に整備された危険物倉庫についても触れられた。専用の平屋棟で、900平方メートル超の規模を持つ。EV(電気自動車)関連バッテリーや化学品、エアゾール製品など需要が高まる多様な危険物に対応可能とする。多様化するサプライチェーンマネジメントへの対応、利用者が必要とする施設を供給するという使命を担う施設と言えるだろう。
一連の内覧会の説明からは、同施設が単なる保管・配送拠点ではなく、地域も含めた広域BCP機能や多用途対応を重視した“サプライチェーンの中核”としての物流施設として開発されたことが確認できた。
なお、この日は内覧会に先立ち、東海市・大府市・野村不動産の三者による防災協定の締結式が同施設内で行われ、両市が同施設を災害時の受援拠点候補として位置付けたことも発表された。施設内のカフェテリアや広い駐車場、空き区画などは、災害時に救援部隊の休憩・宿泊スペース、受援物資の集積場所として活用できることが説明されている。
平時においても、地域イベントの開催や地元農産物のマルシェなど、地域交流に資する活用構想が示されており、物流施設を核とした「地域との共生」のあり方を拡張する取り組みが進められている。こうした背景を踏まえると、Landport東海大府Ⅰが今後、名古屋圏の物流機能だけでなく、広域防災と地域生活の双方に関わる役割を持ちうる施設であることが、今回の内覧会を通じて明確になった。

▲野村不動産・黒川洋氏
締結式で野村不動産取締役専務執行役員の黒川洋氏は、同施設を「物流の効率化支援のみならず、地域防災の発展及び地域コミュニティーの活性化に貢献する地域密着型の物流施設として開発」したと挨拶。地域との関係の場を広げ、東海市、大府市の産業発展、防災対策、環境保全などに努めたいと語った。
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