行政・団体日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は23日、都内で2026年新年賀詞交歓会を開催し、それに先立ち記者発表会を行った。大橋徹二会長(コマツ特別顧問)、齋藤充副会長(NXホールディングス会長)、寺田大泉専務理事が登壇し、物流業界の現状と2026年の重点施策について語った。4月に迫る物流統括管理者(CLO)選任義務化への対応や、深刻化する人手不足、LX(ロジスティクス・トランスフォーメーション)の推進など、物流変革の「実行」フェーズにおける具体的な方針が示された。

▲JILSの大橋徹二会長
CLO選任、特定荷主3000社へアプローチ
冒頭、大橋会長は26年を「物流統括管理者の選任義務化など、持続可能な物流の実現に向けた法令順守の重要性が高まる節目」と位置付けた。新物効法に基づき、年間9万トン以上の貨物を扱う発着荷主やトラック150台以上を保有する事業者などに対し、4月から役員クラスのCLO選任が義務化される。大橋会長はCLO選任の目的を「物流事業者と共にビジネスプロセスや商慣習を見直し、荷待ち・荷役時間の短縮と積載効率の向上を図ること」と明言。一方で、対象となる企業からは「誰を選任すべきか」「どこから着手すべきか」といった戸惑いの声も聞かれるという。
これに対しJILSは、「物流統括管理者連携推進会議」(J-CLOP)を通じ、支援を強化する方針だ。具体的には、自社の貨物重量を把握していない企業向けに、業種と売上高から重量を推計する手法を開発・公開。さらに、このデータを基に特定荷主の可能性がある3000社を特定し、制度周知のための個別アプローチやポータルサイトでの情報発信を進めていることを明らかにした。
「運ぶ件数は倍増」小口多頻度化への対応急務
続いて齋藤副会長は、物流業界最大のリスクである「人手不足」について言及。2050年までに生産年齢人口(15-64歳)が1800万人減少するという推計を示し、「物流の担い手減少は避けられない」と危機感を露わにした。一方で、過去30年間で国内の貨物輸送総量は40%減少しているにもかかわらず、輸送件数は倍増しているというデータを提示。EC拡大などに伴う「小口多頻度化」が急速に進んでおり、これが現場の負担増に直結している構造を指摘した。
対応策として齋藤副会長は、荷待ち・荷役時間の削減やパレット活用の推進といった「効率化」に加え、テクノロジー活用による「省人化」を挙げた。自動化・省人化機器の導入を進め、「物流が人の力に依存した体制からの構造転換」を図る必要性を強調した。また、共同輸送など他社との連携が必要な取り組みについては「なかなか容易には進んでいない」としつつも、先行企業の成功事例が波及していくことに期待を寄せた。

▲JILSの齋藤充副会長
2026年は「物流標準化」と「改善顕彰」へ
最後に寺田専務理事が、26年の活動方針を説明した。注目されるのは、「LXによる全体最適」の一環として取り組む「JIS(日本産業規格)物流用語の改正」だ。AIやビッグデータ活用が進むなか、データの標準化や業務プロセスの統一が不可欠となっており、その基盤となる用語の見直しに着手する。
また、人材育成の面では、従来の企業単位での改善活動認定に加え、新たに「改善活動を実践する個人」を顕彰する制度を開始すると発表。現場改善のモチベーション向上と、高度物流人材の育成を加速させる狙いだ。このほか、6月に福岡、9月に東京で大規模な国際物流総合展を開催し、課題解決のための最新ソリューションを発信していく方針も示された。

▲JILSの寺田大泉専務理事
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