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海外販売意欲なお高水準、物流・通関が壁

2026年3月9日 (月)

調査・データデジタル貿易プラットフォームを手がけるSTANDAGE(スタンデージ、東京都港区)は9日、自社商材の海外販売に関心を持つ日本企業の経営者・海外事業担当者109人を対象に実施した調査をまとめた。日本企業の海外販売意欲の強さと、実務面での障壁の大きさが改めて浮かんだ。特に、海外販売を継続できていない、あるいは未実施の企業では、「物流手配」「取引先との接点不足」「法規制対応」がいずれも32.3%で並び、輸出の意思と実行の間に、物流と貿易実務の壁が横たわっている実態が示された。

「今、一番売りたい国・地域」では、米国が29.4%で首位となった。続いて台湾が16.5%、中国が10.1%で、アジア圏では中華圏への関心が強い。一方、タイ7.3%、ベトナム2.8%、シンガポール2.8%、インドネシア2.8%を合算すると東南アジアは15.7%となり、地域単位では台湾に匹敵する存在感を持つ。販売先を選ぶ理由は「市場が成長しており、需要の拡大が見込めるから」と「日本製品の品質が高く評価されている市場だから」がともに51.4%で並び、成長余地と日本ブランドへの信頼が主要な判断軸になっている。

(クリックで拡大、出所:STANDAG)

販売イメージについては、対象企業の80.9%が「具体的な顧客像や販売シーンまでイメージできている」または「ある程度イメージできている」と答えた。需要の見立てや売り先の仮説は一定程度できている一方で、それが継続的な輸出実行には必ずしもつながっていない。実際、現在「定常的に海外販売を行っている」企業は70.6%に上るが、「過去に行ったことがあるが現在は行っていない」は25.7%、「行ったことはない」は2.8%だった。輸出そのものへの関心は高いが、継続運用に必要な体制づくりが難しい企業が少なくないことを示している。

輸出を止めている、または踏み出せていない企業に理由を尋ねると、「物流手配(国際配送・梱包など)の方法がわからない」「海外の取引先やバイヤーとの接点がない」「現地の法規制や輸入手続きが複雑」が各32.3%で並んだ。さらに「代金回収のリスクや決済手段に不安がある」が29.0%、「海外事業に割ける社内リソースが不足している」が25.8%、「貿易実務のノウハウがない」が22.6%で続く。物流、営業、法務、決済が分断されたままでは、個別企業、とりわけ中小の製造業が単独で海外販売を立ち上げる負担は重い。物流の課題も単なる配送費の問題ではなく、梱包、国際輸送、通関、納期設計まで含めた業務設計の難しさとして現れている。

こうした課題を裏付けるように、販路開拓から配送、代金回収までを一括で代行するサービスがあった場合、海外販売への進出に「すぐにでも挑戦したい」が18.8%、「1年以内に検討したい」が46.9%、「前向きに検討したい」が28.1%となり、合計93.8%が前向きと回答した。期待する支援内容では「輸出に必要な書類作成や通関手続きの代行」が56.7%で最も多く、「海外バイヤーとのマッチング・商談機会の提供」と「国際物流(梱包・配送)の手配」がともに50.0%で続いた。物流と通関が、販路開拓と並ぶ主要な支援ニーズであることが読み取れる。

海外販売に期待する効果では、「国内市場の縮小に対するリスク分散」が51.4%で最多となり、「売上・利益の拡大」の47.7%を上回った。これは、海外展開が単なる成長戦略ではなく、国内需要の先細りに備える分散投資として位置付けられていることを示す。ブランドの国際認知向上34.9%や、日本製品への海外需要の取り込み32.1%も続いており、海外市場を中長期の経営基盤とみる意識は広がっている。

(クリックで拡大、出所:STANDAG)

物流業界の視点で見ると、今回の調査は輸送そのものよりも、輸出業務全体の設計力が不足している企業が多いことを示した。国際物流の現場では、配送手配だけでなく、梱包仕様の最適化、インコタームズを踏まえた責任分界、輸入規制を見越した通関設計、代金回収まで含めた一連の流れをどう構築するかが成否を分ける。輸出志向の高まりを実需に変えるには、物流会社や通関事業者、貿易支援事業者が、それぞれの機能を個別提供するだけでなく、販路開拓と物流実務をつなぐ仕組みをどう整えるかが問われる局面に入っている。

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LOGISTICS TODAY編集部
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