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原油一時119ドル、22年以来の高値

2026年3月9日 (月)

(イメージ)

調査・データ国際指標のブレント原油先物が9日、一時1バレル=119.50ドルまで急騰し、2022年7月以来の高値を付けた。米国指標のWTI(ウエストテキサスインターミディエイト)原油先物も一時119.43ドルまで上昇した。いずれも前週末6日の終値(ブレント92.69ドル、WTI90.90ドル)から30%前後の急騰で、ブレントの1日の上昇幅は1988年以降で最大級となった。(編集長・赤澤裕介)

ホルムズ海峡の事実上の封鎖が7日目に入り、世界の海上原油輸送の2割にあたる日量2000万バレル規模の供給が途絶していることが直接の原因だ。クウェート、UAE、イラクの主要産油国が貯蔵能力の限界から相次いで減産に踏み切ったほか、カタールはLNG(液化天然ガス)施設への攻撃を受けて生産を停止。バーレーンの国営石油会社BAPCOも9日にフォースマジュール(不可抗力)を宣言した。

G7が緊急備蓄放出を協議、上昇幅は縮小

市場が一時パニック的な上昇を見せた後、G7財務相がIEA(国際エネルギー機関)と協調して戦略石油備蓄の共同放出(3-4億バレル規模)を協議するとの報道が伝わり、原油価格は上昇幅を縮小した。ブレントは105-109ドル前後、WTIは103-108ドル前後で推移している。仏政府が議長国として9日の緊急電話会議を主導し、米国を含むG7の3か国がすでに放出支持を表明したと海外メディアが報じている。

ただし、IEAの備蓄放出は実務上、日量200万バレルが上限とされる。ホルムズ海峡経由の途絶量(日量2000万バレル超)に対して1割にとどまり、市場では「時間稼ぎにはなるが根本解決にはならない」との見方が支配的だ。

金融市場への波及も深刻で、9日の東京市場で日経平均株価は前週末比2892円(5.20%)安の5万2728円と急落し、24年8月の「令和のブラックマンデー」以来1年7か月ぶり、歴代3位の下げ幅を記録した。一時は4200円超の下落で5万1000円台まで下げる場面もあった。為替は有事のドル買いが強まり、1ドル=158円台半ばの円安水準で推移。原油高と円安の同時進行が、エネルギー輸入国・日本の経済にとって二重の打撃となっている。

経産省はホルムズ封鎖の長期化に備え、石油備蓄基地に放出準備を指示したと報じられている。日本の石油備蓄は国家備蓄と民間備蓄を合わせて254日分とされるが、放出から末端への到達にはリードタイムがあり、即時の価格抑制効果は限定的との指摘が多い。

アジア各国では「エネルギー・ナショナリズム」ともいえる動きが広がっている。中国は5日、国家発展改革委員会(NDRC)がガソリン、軽油、ケロシンの輸出停止を精製大手に口頭指示した。タイも1日に石油製品の即時輸出禁止を発動し、6日には首相令で正式に官報掲載された。インドのマンガロール製油所も燃料輸出を抑制しており、アジアの石油製品市場は供給がさらに絞られる構図だ。

市場では、ホルムズ海峡の通航が正常化しなければ原油150ドルも視野に入るとの見方が出ている。G7の備蓄放出が実現するか、そしてどの程度の規模とスピードで実行されるかが、今後の価格を左右する最大の焦点となる。

▲原油急騰と金融市場への波及(3月6日終値→9日)(クリックで拡大)

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