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野村不動産Landportが東北進出、設計と運用つなぐ仙台拠点の総合力

仙台物流の模範解答示すLandport仙台岩沼

2026年2月2日 (月)

話題需要に対して供給が少ないといわれてきた東北地方の中心地・仙台エリアの物流不動産市場だが、2023年から一挙に供給が集中し、テナント確保に向けた競争も激化している。

野村不動産の最新物流施設「Landport仙台岩沼」も、2月末の竣工を目前に控える。立地する仙台空港至近の岩沼臨空工業団地内には複数棟、さらに隣接する名取市にも大型物流施設が相次いで進出するなか、あえてこの地で勝負を選ぶ。

「ようやく“図面の話”から“現物を見ながらの話”に切り替わった。ここからが本当の勝負」と、野村不動産都市開発第二事業本 物流営業部営業一課の課長代理、篠大樹氏は語る。

競合する近隣施設では、いまだ空室を抱える物件も少なくない。荷主・物流事業者にとっては「選べる市場」になった一方で、開発側にはこれまで以上に“設計と運用を結びつけた説明力”が求められている。

篠氏は、「Landportとしては東北初進出となる挨拶がわりの物件。施設自体の機能はもちろん、野村不動産の姿勢を広く理解してもらうきっかけとなるプロジェクト」(篠氏)に位置付け、激しい競争を勝ち抜く決意を新たにする。

▲「Landport仙台岩沼」完成イメージ(出所:野村不動産)

後発だからこそ磨き込んだ、仙台市場に最適化した3つのポイント

近隣の複数物件は、すでにテナント確保に向けた活動を本格化している。最後発となるLandportにとっては不利な状況にも映るが、「後発参入だからこそ、すでに稼働している周辺施設の運用実態や、利用状況の改善点、現地ならではのニーズを設計に反映できた」(篠氏)という。最後まで現場の声を集約し、仙台市場が求める“物流施設・3つのポイント”を突き詰めた。

Landport仙台岩沼が突き詰めた3つのポイントとは何か。「1つ目は1500坪程度の小区画から分割利用可能な施設設計、2つ目はBOX型の不安を払拭する垂直搬送能力、3つ目は仙台中心地をターゲットとした両面バースによる機動力」(篠氏)で勝負する。

Landport仙台岩沼は2階建てBOX構造で、延床面積2万5810平方メートルを縦割りで最大4区画まで分割できる仕様とした。「まずは1500坪から小さくスタートし、その後の成長に応じて戦略をシフトするといったエリア特有の運用に対応する」(篠氏)

BOX型倉庫で懸念される垂直搬送能力については、最大4区画でも各区画ごとに荷物用エレベーター1基と垂直搬送機1基を標準装備。4区画すべてを利用した場合、合計8基の縦搬送設備が稼働する。延床規模に対してあえて余力を持たせた設計だ。BOX型特有の機動力と保管能力を両立し、縦搬送能力への不安を一掃した。近隣施設も同様のBOX構造が多いが、小割り区画でもストレスなく2層構造を活用できる設計思想が、施設全体の運用可能性を広げている。

4区画すべてで両面バースが確保できる“機動力”も大きな魅力だ。仙台中心部までは車で30分の立地であり、大消費圏をターゲットにした通過型運用により、回転率を高めて仙台市内への複数往復配送も可能。「店舗配送やEC(電子商取引)など、時間帯指定や多頻度配送を担う拠点として、立地を生かした物流が描ける」(篠氏)

▲「Landport仙台岩沼」立地図(クリックで拡大、出所:野村不動産)

▲「Landport仙台岩沼」1階フロア図。4区画への分割可能で、豊富な垂直搬送力を備える。(クリックで拡大、出所:野村不動産)

競合が多いからこそ浮かび上がる「バランスに優れた最新施設」

仙台周辺の物流立地は、大きく三つに整理できる。港近辺の中央エリア、泉インターチェンジ(IC)周辺の北部エリア、そしてもっとも南部に位置する岩沼(名取)エリアだ。

港近辺は鉄道貨物ターミナルや港湾への近さが強みだが、賃料水準は高く、湾岸の津波リスクへの慎重姿勢も根強い。泉エリアは高台でBCP面の安心感がある一方、生活道路との重複による慢性的な渋滞や、人材確保競争の厳しさが指摘され、港近辺に迫る賃料水準でもある。

これに対して、賃料、道路代替性、人材確保といった施設運用上の課題において、「バランスの取れた運用が可能な点が仙台岩沼の強み」(篠氏)だ。

仙台市内まで車で30分という距離感に加え、基幹の国道4号が混雑しても県道10号という湾岸ルートへ迂回できる道路ネットワークも、日常運用とBCPの両面で評価されている。

沿岸部と内陸の経済活動圏の間には、津波や高潮の影響を軽減する「千年希望の丘」が造成された。高台や植栽が内陸部への浸水を抑え、「津波に敏感なエリアだからこそ必要な安心材料となる」(篠氏)という。屋外重要設備(キュービクル・受水槽)、屋内重要設備(EPS、ポンプ室)は、想定浸水深を踏まえ高所に設置する具体策も講じられている。

また、主要3エリアで唯一仙台市の南側に位置する点が、人材確保の優位性につながる。泉と港周辺が仙台市中心から以北の人材の取り合いとなるのに比べ、「岩沼より南側の居住者は、北側の市中心部まで通勤に時間がかかるため、岩沼周辺での就業ニーズが根強く、周辺倉庫における庫内作業員の採用は比較的順調」(篠氏)だ。南側エリアの労働力を取り込める点も大きい。

自家用車通勤の駐車スペースは71台分を確保し、路線バスや鉄道通勤にも対応。施設内には共用カフェテリアも設け、労働環境への配慮で安定雇用を支える。カフェテリアや人材募集・スキマバイトサービスとの連携など、雇用確保を支援する仕組みはLandportの標準仕様だ。

「Landport仙台岩沼は、施設運用の重要課題に対してバランスよく対応でき、弱点が少ない。実際の運用では、その総合力が最も効いてくる」(篠氏)

競争の激しさは、物流要衝としての評価の高さの裏返しでもある。岩沼は市中心部へのアクセスに加え、仙台東部道路・仙台空港ICまで2.75キロ、塩釜港も60分圏内と、広域配送拠点としてのポテンシャルも高い。各施設がしのぎを削る現状は、仙台起点の物流見直しを考える事業者にとって、またとない機会といえる。

▲「Landport仙台岩沼」狭域図(クリックで拡大、出所:野村不動産)

高まる共同・共創実現への期待、その舞台としてのLandport仙台岩沼

東北エリアは、24年問題の影響が特に懸念された地域の1つだ。首都圏や北関東からの配送スキーム見直しが必要とされ、既存路線便の活用や、リードタイム調整、荷待ち・荷役削減といった運用改善の対応が進む。

一方で深刻化しているのが、ドライバーや庫内作業員の不足だ。篠氏は、エリアの物流課題への対策として、特に「共同配送・共同物流」への関心の高さを感じるという。

「個社・単独で完結する物流には限界が見えてきている。ならば最初から“いっしょに使える場”としての施設運用が重要」(篠氏)。複数企業が隣接し、納品先集約などの共創を実現できるのは、マルチテナント型ならではの強みだ。さらに野村不動産が主導する物流効率化の企業間連携プログラム「Techrum(テクラム)」の知見を通じ、最適化提案や共創のハブとなることも視野に入れる。

「大掛かりな自動化だけでなく、共同化による横持ち距離の最小化など、効率化の道筋は多様」(篠氏)。保管スペースを貸すだけでなく、座組づくりや物流再設計まで踏み込む姿勢こそが、他施設との決定的な違いだ。

内覧会を経て、本格リーシングフェーズへ

Landport仙台岩沼は、2月3日に上棟内覧会を予定する。すでに応募定員に達する盛況ぶりだといい、設計思想と企業姿勢、運用の現実解を“見せて語れる”段階に入った。

さらに野村不動産は、岩沼に続き岩手県北上市でも新たな物流施設「(仮称)Landport北上」を、27年10月竣工を目指し計画中だ。

東北道・北上ジャンクション至近の立地を生かし、柔軟な分割対応や危険物倉庫、豊富な駐車場を併設するなど、新たなサプライチェーンのあり方を見据えた多機能拠点として設計。仙台・岩沼が「都市配送と共同物流のハブ」なら、北上は「東北広域をつなぐ結節点」。東北物流全体の底上げを狙うLandportのエリア戦略が、ポスト24年の物流革新をどう加速させるのか、注目される。

▲篠大樹氏

「Landport仙台岩沼」施設概要

所在地:宮城県岩沼市下野郷字新関迎124−1 他
形状:倉庫2層・ボックス型
構造:S造・2階建
敷地面積:1万9877平方メートル(6013坪)
延床面積:2万5844平方メートル(8346坪)
竣工:2026年2月末
交通:仙台東部道路・仙台空港インターチェンジ(IC)2.75キロ/仙台空港アクセス線「仙台空港駅」3.0キロ

(お問い合わせ)
野村不動産都市開発第二事業本部物流営業部
メール;landport@nomura-re.co.jp
電話:03−6381−7713

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