事件・事故2月17日、札幌市中央区でトラックが絡む事故が相次いだ。月寒通の南4西8交差点付近で雪の影響によるトラック事故が発生したほか、隣接する南4西7でもトラックが道路を塞ぐ事態となった。X(旧ツイッター)ではリアルタイムで情報が拡散され、冬の物流現場が抱える「日常リスク」が改めて浮き彫りになった。連続寒波に見舞われる北海道で、視界不良と制動不良が重なり、配送遅延の連鎖を招いている。(編集長・赤澤裕介)
1件目は同日11時27分ごろ、札幌市中央区南4西7で発生した。トラックが道路を塞ぎ、複数車線が通行不能となった。現場に居合わせたドライバーがXに写真2枚を投稿し、「事故でトラック道塞いでます。道路状況も良くなく、通りにくいです」と報告。周辺では渋滞が発生し、物流車両も迂回を余儀なくされた。
2件目は11時36分ごろ、南4西8交差点付近の月寒通で起きた。災害情報アカウント「@sapporo_119」がXで「トラックの事故との情報 雪の影響」と速報した。同交差点はオフィスや商業施設が密集する市街地中心部の主要交差点で、信号のある物流ルート上に位置する。いずれも雪道でのスリップや制動不良が原因とみられる。
2つの事故現場は徒歩1-2分の距離にあり、同一道路上でほぼ同時刻に発生した。11時台は通勤や配送のピーク時間帯にあたり、影響は広範囲に及んだ。
直近では2月16日、東北道の那須塩原市(栃木県)で大型トラックが路肩に停車中のトラックに追突し、運転手の50代男性が死亡する事故が発生。通行止めは8時間半に及んだ。Xでは「大惨事」「気をつけよう」との声が広がった。雪や路面凍結が背景にあるとみられる。
2月12日には札幌市白石区の交差点で、右折中の大型トラックと直進する乗用車が衝突し、乗用車に同乗していた77歳の女性が死亡。トラック運転手(26歳)が逮捕された。雪道での右折時の死角や制動失敗が指摘されている。
制動距離2-3倍、除雪遅れが追い打ち
26年2月の北海道は連続する寒波と大雪に見舞われ、札幌市内の積雪は30-50センチを超えた。生活道路の除雪進ちょくは3割にとどまり、石狩湾低気圧による短時間集中降雪が繰り返されている。
雪道では制動距離が通常の2-3倍に延びる。時速60キロの場合、停止までに120メートル超を要する計算だ。吹雪による視界不良は右左折時のミスや死角事故を誘発し、気温マイナス5度前後の凍結路面ではスタックや横転のリスクも高まる。
物流への影響が広がっている。佐川急便は2月16日、青森・北海道発着の荷物で遅延が継続していると発表した。影響は全国に波及している。
高速道路では道央道や札樽道で除雪のための通行止めが実施された。東日本高速道路(NEXCO東日本)は集中除雪による渋滞への注意を呼びかけている。北海道のトラック事業者からは「フェリー欠航と道路規制で在庫が滞留している」との声が上がり、荷主の小売・EC事業者は「2日遅れ」を報告している。
国土交通省と道警の推定によると、冬期の雪道事故は通常期の1.5倍に増加し、トラックの死傷事故では制動失敗が3割を占める。
雪道事故の背景には、物流業界の構造的な課題がある。トラック運転手の平均年齢は50歳を超え、冬期の身体的負担は大きい。時間外労働の上限規制が本格化するなか、限られた人員で運行を維持しなければならず、疲労の蓄積が判断力の低下を招く。
Xではドライバーから「雪で制動が効かず、過労で集中力が切れやすい」との投稿があったほか、物流企業からは「除雪遅れでルート変更を強いられ、1日2時間のロスが出ている」との声も上がった。荷主からの「即納」要求が無理な運行を生む構図も指摘されている。
一方で、雪道安全に取り組む企業もある。丸運グループは2月13日に「無事故駅伝」を完走し、雪道教育の徹底で成果を上げた。西濃運輸は冬期のチェーン装着を義務化し、ヤマト運輸はAIを活用した雪道ルート最適化に取り組んでいる。
現場で実践できる対策は明確だ。車両面ではスタッドレスタイヤにチェーンを常備し、タイヤ空気圧を定期的に確認する。運転面では速度を通常の半分に落とし、車間距離を十分に確保する。ドライブレコーダーの映像解析による事後検証も有効だ。
企業としてはGPSと天気情報を連動させた運行管理アプリの導入や、休憩ルールの厳守が求められる。荷主側もBCP(事業継続計画)の策定と代替ルートの確保を進めるべきだろう。行政に対しては「雪道専用休憩所」の増設を求める声がある。
雪は物流現場にとって「日常の落とし穴」だ。今回の札幌での連続事故は、制動・視界・疲労という複合リスクが同時に顕在化した形となった。26年問題で人手不足が続くなか、冬期の安全対策をどう実効性あるものにするかが問われている。
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