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商船三井、田村新社長が示す危機対応と成長戦略

2026年4月4日 (土)
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ロジスティクス商船三井は1日、創立記念日に合わせて田村城太郎社長の全役職員向けメッセージを公表した。

田村社長は同日付で就任し、冒頭でホルムズ海峡の事実上の封鎖が1か月に及ぶ中東情勢に触れ、関係船の乗組員の安全確保を最優先課題に据える考えを明示。そのうえで、2026年度を長期経営計画「BLUE ACTION 2035」Phase2の初年度と位置付け、海運を基盤としながらオフショア、ターミナル、ロジスティクス、不動産などへ広げる事業ポートフォリオ変革を継続する方針を示した。新設した安全・品質推進本部による安全管理の底上げ、資本配分の見直し、経営基盤強化にも言及しており、新体制の発足と同時に、地政学リスク対応と中長期成長の両立を打ち出した格好だ。

▲創立記念式典で挨拶する田村城太郎社長(出所:商船三井)

以下、社長メッセージ全文。

商船三井グループの皆さん、こんにちは。本日付で社長に就任した田村 城太郎です。今日から皆さんと一緒に新たな航海に臨む期待と緊張で私自身満たされています。皆さん、改めてどうぞよろしくお願いします。

冒頭に2月28日の米国・イスラエルによる対イラン軍事行動を端緒とする現在の中東情勢について述べます。情勢が長期化している厳しい状況のなかで業務を遂行してくださっている皆さんに、心から敬意を表します。

ホルムズ海峡の事実上の封鎖状態が既に1か月に及んでおり、その多大な影響への対処が喫緊の課題です。中でも引き続き当社関係船の乗組員の安全確保を最優先として、私自身が陣頭指揮を取り日本政府とも緊密に連携を取りながら一日も早い事態の打開に向け全力を挙げて取り組みます。

さて、商船三井は本日創業から142周年を迎えました。2026年度は商船三井グループ経営計画「BLUE ACTION 2035」Phase2の新たな5年間の始まりの年です。またことし9月には、当社グループのフラッグシップと言うべきクルーズ船で既に多くのお客様にご愛顧いただいている「MITSUI OCEAN FUJI」(三井オーシャンフジ)に加えて、新たに「MITSUI OCEAN SAKURA」(三井オーシャンサクラ)が就航します。これを機に「日本の美しい船旅」を更に多くの方に満喫していただけるよう、万全を期してまいります。

当社の長い歴史には多くの節目の時がありました。社長として初めてのメッセージにあたり、そのなかではごく最近ではありますが、今からちょうど5年前の2021年4月を振り返りたいと思います。この時当社グループの新たな「企業理念」「グループビジョン」「価値観・行動規範」を発表し、私自身も経営企画部長としてその策定に深く関わりました。これが現在の私たちの拠り所となっているものです。

企業理念「青い海から人々の毎日を支え、豊かな未来をひらきます」の中にある「青い海から」という言葉には、中核たる海運事業のフィールドである海を起点に事業領域を拡げ、より多角的に人々の暮らしに豊かさを届けていきたいという思いが込められています。この考え方はグループビジョンにおいて自らを「社会インフラ企業」と再定義する考えに繋がっています。現在推進している、エネルギー輸送から発展した石油・ガス・風力のオフショア事業、ケミカル・自動車輸送におけるターミナル事業、ならびにロジスティクス・不動産における海外投資の拡充は、この考えを具現化しており、海運事業の競争力向上を図りながら、並行的に新領域の収益化と事業間のシナジー創出を目指しています。このポートフォリオ変革の取り組みは長期にわたるもので、13年間の長期計画であるBLUE ACTION 2035を通じて一貫して追求していくと同時に、外的・内的環境の変化に応じて各事業レベルでの戦略の機敏な修正も必要です。

当社グループの価値観・行動規範である「MOL CHARTS」は、5年前に“S”(=Safety)が加わりました。安全は文字通り重要な経営基盤のひとつです。本日付で実施した本社の組織改編では、安全・品質推進本部が発足しました。船舶管理と運航支援のみならず、海運以外の事業の安全管理に至るまで、レベルの維持向上をリードする重要な役割を担います。デジタル化・AI(人工知能)導入と効果的に連携し、事業部門の目的意識とも足並みをそろえながら、各事業の現場および各船の乗組員が安全・健康で、より効率的な業務遂行を実現出来るよう支えていきましょう。

次に昨日発表の新しい経営計画で掲げる3つの重点テーマに触れます。外的環境は総じて直線的だったグローバル化が既に数年前に転換点を迎えており、これまでのやり方に決して安住出来ないChallengeの精神が一層求められる時代に入っており、それが重点テーマの1つ目である「稼ぐ力」の重要な背景でもあります。コンテナ船、自動車船ならびにケミカル船事業は直近数年間において市況の上昇局面を捉え大きな利益貢献を果たしましたが、次なる局面への戦略的対応が求められています。ドライバルク船、タンカー事業は地政学的事象の影響を受けた大きな市況振幅もあり得るなか、安定輸送提供と有利機会獲得のバランスを、また液化ガス事業は市場拡大を捉えた商機獲得と収益性向上のバランスを、それぞれ求められます。宇徳、ダイビル、商船三井さんふらわあをはじめ国内事業を中心とするグループ各社は総じて安定した業績を挙げてきており、引き続きその貢献が期待されます。

気候変動問題への対応は、外的環境の変化を踏まえつつも中長期的な視点を見失わずに取り組みを続け、Reliabilityの精神を発揮していきます。当面の重点項目として船舶からのCO2排出削減を目指した効率運航の更なる推進、アンモニア・液化CO2輸送の事業開発などが挙げられます。

重点テーマの2つ目である「資本配分」については、直近3年間で計画を前倒し実行した投資のペースをある程度調整しつつ、資産の入れ替えによる資本効率の向上も図りながら、財務基盤維持・株主還元とのバランスを取っていきます。海運事業が宿命的に持つ業績の波動性に対しては、市況サイクルが高位にある時にそれを享受出来る構えを築きながら、市況サイクルが低位にある時にも業績を下支えする役割を果たす安定収益型事業を組み合わせることで、事業ポートフォリオ全体としての安定性を維持します。

こうした強みを組織・人財の充実と次の大きな事業投資・リスクテイクに繋げ、成長のサイクルを回し果実としての株主還元も高めていく、これが当社グループの経営の根幹にある成長戦略の考えです。その実現のために財務戦略にも磨きをかけ資産の規模と質のコントロールを高めていきます。

重点テーマの3つ目である「経営基盤強化」で取るべきアクションは多岐にわたりますが、その実行に向けて、事業を支えるコーポレート部門、技術・デジタル戦略本部、燃料調達部門、そして今やサポート役のみならず主体的役割をも担う地域部門への期待は一層高まっています。その上で強調したいのが、大きな成果を挙げるには事業部門を含めた全体の連携、大きなTeamworkが必須条件である点です。私自身、チーフ・オペレーティング・オフィサー、チーフ・フィナンシャル・オフィサーの2人ならびに経営チーム全員とベクトルを合わせ、Teamworkを体現出来るよう常に心掛けていきます。

そして、Teamworkの根底を成す当社グループの企業文化であり、その中核にある価値観としてHonestyならびにAccountabilityがあることに触れたいと思います。Honestyはズバリ“Do the right thing”、またAccountabilityは“Sense of ownership”と示されています。私はこの“Sense of ownership”が最も商船三井グループらしさを表す言葉であると感じています。

私たち一人一人がこの「企業理念」「グループビジョン」「価値観・行動規範」の下に集い、その実現に挑み続ける存在です。「グローバルに成長する強くしなやかな企業グループ」を目指し、私たちらしさ、私たちの強みを存分に発揮して創業142年目の本年度、BLUE ACTION 2035 Phase2の初年度を実り多きものにしていきましょう。

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