日野自動車とデンソー、大型トラック向け電動冷凍システム

サービス・商品日野自動車とデンソーは29日、環境性能を向上させた新技術・新製品開発の一環として、ハイブリッドユニットを活用した電動式冷凍システムを大型トラック用として初めて開発した、と発表した。「日野プロフィア」に搭載して、2月1日に発売する。

発売する日野プロフィア電動冷凍車は、日野のハイブリッドシステム技術と、デンソーの車載用電動式冷凍システム技術のコラボレーションによって実現。経済性、冷凍性能、品質、静粛性に優れているという。

ハイブリッドトラックは通常、ハイブリッドシステムのエネルギーを車両の走行アシストに利用して燃費を向上させるが、今回発売する大型トラックではハイブリッドシステムのエネルギーを走行には使わず、電動式冷凍システムの駆動のみに活用することで、燃料消費量の低減を実現した。

冷凍車は、冷凍機専用に追加搭載したサブエンジンか車両走行用のメインエンジンによってコンプレッサーを駆動するが、共同開発した電動式冷凍システムは、ハイブリッドシステムを応用し、走行時に効果的に発電、回生したエネルギーを冷凍機用電動コンプレッサーの駆動のみに使用する。

これにより、冷凍機用コンプレッサーを駆動するためにエンジンを稼動させていた分の燃料消費量とそれに伴うCO2排出量を大幅に低減することが可能になる、としている。

このシステムでは、ハイブリッドシステムからの電力により、電動コンプレッサーを駆動するため、サブエンジン方式に比べて高い静粛性を実現。さらに、冷凍機専用のエンジンが不要なため、150キロの軽量化にもつながった。

メインエンジン方式と比べた場合も、車両の走行・停止状態に関係なくハイブリッドシステムからの安定した電力供給により、適正な回転数でコンプレッサーを駆動することが可能となり、より安定した冷凍冷蔵性能・品質を保つことができる。

メインエンジン方式では構成部品をエンジンルームや車両の床下などに分散して搭載しているが、今回開発したシステムは電動コンプレッサーやコンデンサーなどの構成部品を集約してユニット化した結果、配管や配線が少ないシンプルな構造を実現し、メンテナンス性を高めた。

システムはスタンバイ装置を標準装備しており、外部の200V電源と接続することで、長時間のエンジン停止時にも冷凍室内の温度を維持でき、スタンバイ装置のタイマー機能を利用することにより、荷積み前に冷凍室を適温に冷却しておく予冷運転をドライバーの操作なしに行うことが可能。

冷凍システムの燃料消費量低減とともに2015年度燃費基準の基準値を5％上回る低燃費を達成し、先行車への追突回避を支援することが可能になった衝突被害軽減ブレーキ（PCS）や、適切なタイミングで警報できるようになった車線逸脱警報、検出性能を向上させたドライバーモニターなど先進の安全装備を標準装備している。

東京地区希望小売価格は2333万7000円からで、両社では初年度180台の販売を目指す。